介護予防とは?自分でできる4つの取り組みと利用できる介護予防サービスを解説

「まだまだ元気だから介護なんて関係ない」と思っていても、年齢を重ねるとともに心身の機能は少しずつ変化していきます。いつまでも自分らしくいきいきとした生活を送るためには、早いうちから「介護予防」に取り組むことが非常に重要です。この記事では、介護予防の基本的な考え方から、ご自身で簡単に始められる4つの取り組み、そして必要になったときに利用できる公的なサービスまで、幅広く解説します。この記事を読めば、介護予防の全体像が分かり、今日から何をすべきかが見えてくるはずです。健康で充実した毎日を送るために、ぜひ最後までご覧ください。
介護予防とは健康寿命を延ばすための取り組み
介護予防とは、「要介護状態になることをできる限り防ぎ、もし要介護状態になってもそれ以上悪化させないようにする」ための取り組みです。単に身体機能の維持・向上を目指すだけでなく、生きがいや自己実現を追求し、生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)を高めることを目的としています。
厚生労働省では、介護予防を「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと、さらには軽減を目指すこと」と定義しています。元気なうちから意識的に取り組むことで、健康で自立した生活を送れる期間、いわゆる「健康寿命」を延ばすことにつながります。
介護予防の段階別の目的
介護予防は、対象となる方の状態によって、大きく3つの段階(一次・二次・三次)に分けられます。それぞれ目的が異なるため、ご自身の状況に合わせて適切な取り組みを行うことが大切です。
要介護状態になるのを防ぐ「一次予防」
一次予防は、主に65歳以上のすべての高齢者を対象とした、最も基本的な介護予防です。健康なうちから病気やけがをしないように気を付け、要介護状態になるのを未然に防ぐことを目的とします。
具体的には、バランスの取れた食事や適度な運動、禁煙や節酒といった健康的な生活習慣を心がけることが中心です。また、自治体が行う健康教室や介護予防教室に参加し、正しい知識を身につけることも一次予防に含まれます。
要介護状態の悪化を防ぐ「二次予防・三次予防」
二次予防と三次予防は、心身の機能に何らかの低下が見られる方や、すでに要介護認定を受けている方が対象です。
- 二次予防
- 病気やけがを早期に発見し、早期に治療することで、心身の機能低下が深刻な状態(要介護状態)へ進むのを防ぐことを目的とします。具体的には、健康診断やがん検診の受診、地域包括支援センターなどが行う「基本チェックリスト」で心身の状態を把握し、早期に対応することなどが挙げられます。
- 三次予防
- すでに要介護状態にある方が、できる限り心身の機能を維持・改善し、状態の悪化を防ぐことを目的とします。具体的には、介護保険サービスを利用したリハビリテーションなどがこれにあたります。身体機能の回復だけでなく、再発防止や残された機能の活用も目指します。
なぜ今、介護予防が必要とされているのか
現在、日本では急速な高齢化が進んでおり、介護予防の重要性がますます高まっています。内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は29.1%に達し、国民の3.4人に1人を上回る状況です。
今後も高齢者人口は増加が見込まれており、それに伴い介護を必要とする人も増えていくことが予想されます。介護が必要な人が増え続けると、介護保険制度の財源が圧迫されたり、介護を担う人材が不足したりと、社会全体に大きな影響を及ぼしかねません。
このような背景から、高齢者一人ひとりができるだけ長く健康で自立した生活を送れるように支援する「介護予防」が、国を挙げた重要な取り組みとして推進されているのです。個人の生活の質を高めるだけでなく、持続可能な社会保障制度を維持するためにも、介護予防は不可欠と言えるでしょう。
まずは心身の状態を把握する「基本チェックリスト」
介護予防を始めるにあたり、まずはご自身の現在の心身の状態を客観的に把握することが大切です。そのために活用できるのが、市区町村や地域包括支援センターで実施されている「基本チェックリスト」です。
基本チェックリストの25項目
基本チェックリストは、日常生活の様子や心身の状態に関する25個の簡単な質問で構成されています。「はい」「いいえ」で答えるだけで、特別な知識や準備は必要ありません。質問は、以下の7つの領域に分かれています。
| 領域 | 質問内容の例 |
|---|---|
| 日常生活関連動作 | バスや電車を一人で利用して外出していますか? |
| 運動機能 | 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか? |
| 栄養状態 | 半年間で2~3kg以上の体重減少がありましたか? |
| 口腔機能 | 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか? |
| 閉じこもり | 週に1回以上は外出していますか? |
| 認知機能 | 周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあると言われますか? |
| うつ傾向 | ここ2週間、毎日の生活に充実感がない |
※上記は質問内容の例です。実際の質問項目は市区町村にご確認ください。
チェックリストでわかることと活用方法
基本チェックリストの結果によって、心身のどのような機能が低下している可能性があるのかを把握できます。例えば、「運動機能」や「栄養状態」の項目に多くチェックがついた場合、将来的に要介護状態になるリスクが高い「フレイル(虚弱)」の状態にある可能性が考えられます。
一定の基準に該当した場合は、要介護認定を受けていなくても、市区町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の対象者となることがあります。この事業では、専門職による指導や、多様な介護予防サービスを利用できるため、早期の対策につながります。基本チェックリストは、お住まいの地域の地域包括支援センターで受けることができますので、ご自身の健康状態を確認するきっかけとして、ぜひ一度活用してみてはいかがでしょうか。
今日から始める!自分でできる4つの介護予防
介護予防は、特別なことをする必要はありません。日々の生活の中で少し意識を変えるだけで、誰でも簡単に取り組むことができます。ここでは、健康寿命を延ばすために特に重要とされる「運動」「栄養」「口腔ケア」「社会参加」の4つの柱をご紹介します。
①運動|無理なく筋力を維持する
加齢とともに筋肉量は自然と減少していきます。筋肉が衰えると、転びやすくなったり、立ち上がりなどの日常動作が困難になったりする「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」のリスクが高まります。これを防ぐためには、無理のない範囲で運動を習慣にすることが大切です。
自宅でできる簡単な体操の例
特別な器具を使わなくても、自宅でテレビを見ながらできる簡単な体操がたくさんあります。
- スクワット
- 肩幅に足を開き、椅子に座るようにお尻をゆっくり下ろして、またゆっくりと立ち上がります。膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。太ももの大きな筋肉を鍛えることができます。
- かかと上げ
- 椅子や壁に手をついて体を支え、ゆっくりとかかとを上げて、ゆっくりと下ろします。ふくらはぎの筋肉を鍛え、バランス能力の向上につながります。
- 片足立ち
- 転倒しないように必ず机や壁に手をつき、片方の足を床から少し浮かせて数十秒キープします。バランス感覚を養うのに効果的です。
これらの体操を、それぞれ10回程度、1日に2~3セット行うのが目安です。痛みを感じる場合は無理をせず、できる範囲で行いましょう。
ウォーキングなどの有酸素運動
筋力トレーニングと合わせて、ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動もおすすめです。有酸素運動には、心肺機能の維持・向上や、生活習慣病の予防、気分のリフレッシュなどの効果が期待できます。
まずは「今より10分多く歩く」ことを目標に始めてみましょう。買い物に行く際に少し遠回りをする、エレベーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすだけでも立派な運動になります。
②栄養|低栄養を防ぐバランスの良い食事
高齢になると、食が細くなったり、あっさりしたものを好むようになったりして、エネルギーやたんぱく質が不足しがちです。このような状態を「低栄養」と呼び、筋肉量の減少や免疫力の低下、骨がもろくなる原因となります。健康を維持するためには、1日3食、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を摂ることが基本です。
意識して摂りたい栄養素
特に、以下の栄養素を意識して食事に取り入れることが重要です。
- たんぱく質
- 筋肉や骨、血液の材料となる重要な栄養素です。肉、魚、卵、大豆製品などに多く含まれています。毎食、手のひらサイズの量を摂ることを目指しましょう。
- カルシウム
- 骨や歯を丈夫にするために欠かせません。牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜などに豊富です。カルシウムの吸収を助けるビタミンD(きのこ類や魚に多い)も一緒に摂ると効果的です。
- 食物繊維
- お通じを良くし、腸内環境を整える働きがあります。野菜、果物、きのこ類、海藻類、豆類などに多く含まれています。
簡単でおいしい食事の工夫
毎食バランスの取れた食事を用意するのが大変な場合は、缶詰や冷凍食品、惣菜などを上手に活用するのも一つの方法です。例えば、いつもの食事に卵や豆腐、ツナ缶などを一品加えるだけでも、手軽にたんぱく質を補うことができます。
また、誰かと一緒に食事をすることも、食欲を増進させ、低栄養を防ぐ上で非常に効果的です。ご家族や友人と食卓を囲んだり、地域の配食サービスを利用したりするのも良いでしょう。
③口腔ケア|お口の健康を保つ重要性
「お口の健康」は、全身の健康と密接に関わっています。口の中が不潔だったり、歯が少なかったり、噛む力や飲み込む力が弱まったりする「オーラルフレイル」は、食事が十分に摂れなくなり低栄養につながります。また、口の中の細菌が誤って気管に入り込むことで起こる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」は、高齢者の主要な死因の一つです。
毎日の丁寧な歯磨きはもちろんのこと、舌の清掃や、口の周りの筋肉を鍛える「お口の体操(健口体操)」などを習慣にしましょう。半年に一度は歯科医院で定期検診を受け、専門家によるチェックやクリーニングをしてもらうことも大切です。
④社会参加|人との交流や趣味で心身を活性化
家に閉じこもりがちになると、心身の機能が低下しやすくなるだけでなく、認知症のリスクも高まります。趣味のサークルやボランティア活動、地域のイベントなどに積極的に参加し、人との交流の機会を持つことが、心と体の健康を保つ秘訣です。
誰かと会話をしたり、役割を持って活動したりすることは、脳に良い刺激を与え、認知機能の維持につながります。また、社会とのつながりを持つことは、生きがいや楽しみを見つけることにもなり、精神的な充実感をもたらしてくれます。無理に新しいことを始める必要はありません。友人との電話や、近所の人との挨拶など、ささいなコミュニケーションから始めてみるのも良いでしょう。
要支援認定で利用できる介護保険の「介護予防サービス」
自分でできる取り組みを続けていても、加齢や病気によって日常生活に支援が必要になることもあります。介護保険の要介護認定で「要支援1」または「要支援2」と判定された方は、「介護予防サービス」を利用することができます。このサービスは、できる限り自立した生活を続けられるように、心身機能の維持・改善を目的とした支援を提供するものです。
介護予防サービスの種類と内容
介護予防サービスには、自宅で受けられるものから、施設に通って利用するもの、短期間宿泊するものまで、様々な種類があります。
介護予防訪問入浴介護
ご自宅の浴槽での入浴が難しい場合に、看護職員と介護職員が専用の浴槽を自宅に持ち込み、入浴の介助を行います。
介護予防訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などの専門家がご自宅を訪問し、日常生活の自立を助けるためのリハビリテーションを行います。
介護予防通所リハビリテーション(デイケア)
介護老人保健施設や病院などに通い、食事や入浴といった生活支援のほか、理学療法士などによる機能訓練やリハビリテーションを受けられます。
介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
介護施設に短期間宿泊し、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを受けられます。ご家族の介護負担軽減(レスパイトケア)のためにも利用されます。
介護予防福祉用具貸与
日常生活の自立を助けるための福祉用具(手すり、歩行器、スロープなど)をレンタルできます。
※この他にも、様々な種類のサービスがあります。
サービスの利用開始までの流れと費用
介護予防サービスを利用するためには、まずお住まいの市区町村の窓口で要介護認定の申請が必要です。その後、地域包括支援センターの担当者(ケアマネジャー)と一緒に、どのようなサービスをどのくらいの頻度で利用するかを盛り込んだ「介護予防サービス計画書(ケアプラン)」を作成し、サービスの利用を開始します。
費用については、所得に応じてサービス費用の1割~3割が自己負担となります。利用できるサービスの種類や回数には、要支援度に応じた上限額が設けられています。
市町村が主体となる「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」
2015年の介護保険制度改正により、市区町村が地域の実情に応じて多様なサービスを提供する「介護予防・日常生活支援総合事業(通称:総合事業)」が創設されました。これは、要支援者の方だけでなく、基本チェックリストで事業対象者と判定された元気な高齢者も利用できる、新しい介護予防の仕組みです。
総合事業の対象者とサービス内容
総合事業の対象者は、主に以下の2つのグループに分かれます。
- 要支援認定を受けた方(要支援1・2)
- 従来の介護予防給付の一部(訪問介護や通所介護)が総合事業に移行しました。
- 基本チェックリストにより事業対象者と判断された方
- 要介護認定は受けていないものの、生活機能の低下がみられる方が対象となります。
サービス内容は、大きく2つに分けられます。
介護予防・生活支援サービス事業
専門的な介護サービスだけでなく、NPOやボランティア、民間企業など、地域の多様な主体が提供する様々な支援を利用できます。
- 訪問型サービス(掃除、洗濯、買い物などの支援)
- 通所型サービス(体操教室や趣味活動など、交流の場への参加)
- その他の生活支援サービス(配食サービス、見守りなど)
一般介護予防事業
65歳以上のすべての高齢者が参加できる介護予防活動です。
- 介護予防に関する講演会やパンフレットの配布
- 地域の公民館などで開催される介護予防教室や体操教室
- 地域住民が主体となって運営するサロン活動など
従来の介護予防給付との違い
総合事業の大きな特徴は、市区町村が主体となって、地域の実情に合わせた柔軟なサービスを開発・提供できる点にあります。全国一律の基準で提供されていた従来の介護予防給付とは異なり、ご利用者一人ひとりの状態やニーズに合わせた、より多様できめ細やかな支援が可能になりました。ご自身の住む地域でどのようなサービスが提供されているかについては、地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
介護予防や将来の施設探しは「笑がおで介護紹介センター」へ
介護予防に取り組むことは、健康で自立した生活を長く続けるために非常に大切です。しかし、将来のことを考えると、「もし介護が必要になったらどこで暮らせばいいのだろう?」といった不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
元気なうちから考えたい将来の住まい
介護が必要になったときの備えとして、老人ホームや介護施設への入居を検討することも一つの選択肢です。元気なうちであれば、ご自身の希望に合った施設をじっくりと時間をかけて探すことができます。施設見学などを通じて、様々な選択肢があることを知っておくだけでも、将来の安心につながります。
介護予防に力を入れている施設のご提案
最近では、ご入居者がいつまでも元気に過ごせるよう、フィットネスジムが併設されていたり、リハビリ専門職が常駐していたりと、介護予防に力を入れている施設も増えています。「笑がおで介護紹介センター」では、そうした施設の情報も豊富に取りそろえています。ご利用者のお体の状態やご希望に合わせて、最適な施設をご提案することが可能です。
入居に関するお悩みや費用について無料で相談
「将来のために情報収集だけしておきたい」「施設の種類が多くて違いが分からない」「費用はどれくらいかかるの?」など、老人ホーム探しに関するお悩みや疑問は、どうぞお気軽に「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。
関西エリアの介護施設情報に精通した相談員が、無料で皆様のお悩みをお伺いし、施設探しのお手伝いをさせていただきます。まだ具体的な入居時期が決まっていなくても構いません。皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。

監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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