グループホームと老人ホームの違いについて費用・サービスから解説

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グループホームと老人ホームの違いについて費用・サービスから解説

利用する介護施設を探している方に向けて、グループホームと有料老人ホームの違いについて解説いたします。

親に介護が必要となった、ご自身の将来に不安がある。さまざまな理由で介護施設の利用を検討されることでしょう。
しかし紹介されたとしても、「グループホーム」と「有料老人ホーム」の違いがわからない方は多いものです。どちらが適しているのかわからなければ、選びようもありません。

そこで今回の記事では、グループホームと有料老人ホームの違いについて、費用面・サービス面などから解説します。
参考にしていただければ、どちらを利用するべきなのか、利用する方の状況・環境・予算なども含めてご理解いただけるはずです。

グループホームと有料老人ホームの違い

それでは「グループホーム」と「有料老人ホーム」の違いから見ていきましょう。まずは具体的な特徴をまとめましたので、こちらをご覧ください。

  グループホーム[1][2] 有料老人ホーム[3][4][5]
対象者 要支援2以上で認知症の診断を受けた方 高齢の方
対象者年齢 主に65歳以上の方 65歳以上
施設利用人数 5~9人 規定なし
看護師 施設による 配置あり
看取り 施設による 看取りあり

それではそれぞれのサービスについてどのような違いがあるのか、詳しく解説していきます。

グループホームとは

グループホームとは、認知症の方を対象とした施設です[2]。「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれます。
ワンフロアには5~9人程度しかおらず、少人数であるためにアットホームな雰囲気となることが特徴です。認知症の診断があり1人で生活を営むことが難しい方を対象とし、生活相談・入浴・排泄・食事への介護や援助が受けられます。

利用対象者の年齢は主に65歳以上ですが、65歳未満の方でも利用は可能です。65歳未満の方の場合は、障害福祉サービスもしくは近しいサービスを受けた経験がある方のみが利用できます[1]。そして要支援2以上の方を対象としているため、要支援1の方は利用できません[2]。

費用は介護保険の等級により変わり、介護度が高い方ほど高額となります。1日あたりの費用で設定されていますが、施設利用料金に加えて食費・理美容代・おむつ代などが別途加算される仕組みです[2]。以上のようにグループホームとは、基本的に支援・介護を必要とする認知症の方が利用対象となります。

関連記事:グループホームと老人ホームの違いについて費用・サービスから解説

有料老人ホームとは

有料老人ホームとは、介護の要不要を問わず、高齢者の健康や生活を維持するための施設です。施設に入居した方に対して、食事の提供、洗濯、掃除、介護、健康管理などのサービス提供を目的としています。 有料老人ホームはさらに、次の3つのタイプにわかれます。

【種類】

  • 介護付有料老人ホーム:介護サービス付きの住居施設で、介護が必要となった場合でも居室でサービスを受けられる[6]
  • 住宅型有料老人ホーム:生活支援サービス付きの住宅施設で、介護が必要となった場合は地域の介護サービスが受けられる[6]
  • 健康型有料老人ホーム:食事サービス付きの住宅施設で、介護が必要となった場合は退去しなければならない[6]

一言で有料老人ホームと言っても、種類により特徴が大きく異なります。介護付有料老人ホームや住宅型有料老人ホームであれば、介護が必要となっても入居継続が可能です。しかし健康型有料老人ホームは、介護が必要となった場合は退去し、他の施設を探さなければならなくなります。

有料老人ホームは基本的に、高齢の方が希望すれば入居できる施設です。しかし種類によって特徴が異なることを知っておいてください。

関連記事:老人ホームとは?介護施設との違いや種類・費用などを一覧表で解説

グループホームのサービス内容

グループホームのサービス内容は、基本的な生活の支援が基本です。入浴や食事、排泄など、日常の中の基本的な動作を介護職員が支援します。
またその他、脳や体に刺激を与えるレクリエーションや、リハビリが行われることもあるでしょう。

認知症のある利用者を対象としているため、介護や見守りが手厚いこともサービスの特徴です。ただし料理や掃除などは介護職員が行うことはありません。利用者の自立を促す目的もあり、職員のサポートのもと利用者自らが行います。

つまりグループホームのサービスは、できることは利用者自らで行い、できないことを支援するもの…と言えます。

有料老人ホームのサービス内容

続いて有料老人ホームのサービス内容についてご紹介します。しかし有料老人ホームの場合、施設の種類により提供されるサービスが異なります。

そこで種類ごとにサービス内容を見ていきましょう。

介護付有料老人ホーム

介護付有料老人ホームのサービスは、3つの種類の中で最も手厚いことが特徴です。要介護5の方も入居可能であることからもわかるように、多くの介護を必要としている方でも利用できます。
主なサービス内容はリハビリ、機能訓練、レクリエーション、イベントなどです。脳や身体の健康を保ちつつ、利用者の方に楽しんでもらえるサービスが提供されます。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームでは、施設と地域の介護サービスとの組み合わせによるサービスが提供されます。施設内では食事や生活への支援、健康管理サービスなどを受けながら、必要であれば地域の介護サービスも受けられます。
施設内のサービスだけで考えれば、食事提供、洗濯、生活の見守り・相談などが基本です。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームのサービスは、主に生活の支援と日々の楽しみの提供です。
健康型有料老人ホームは、要介護となれば退去しなければなりません。つまり「支援があれば1人で生活できる高齢の方」が利用対象です。
そのため介護サービスなどは提供しておらず、高齢になった方への食事や掃除などの基本的な生活サービスを提供します。また日々の楽しみとなる娯楽施設なども併設されていることが多く、生活にハリが出るでしょう。

グループホームの費用

グループホームの費用は前述のとおり、介護保険の要介護度と、利用する日数により変わります。

ショートステイ(短期入所生活介護併設型)の費用

介護保険の申請を行っている方であれば1割負担の方が多いでしょう。1割負担での利用料金をご紹介します。

  共同生活住居1つ 共同生活住居2つ
要支援2 760円 748円
要介護1 764円 752円
要介護2 800円 787円
要介護3 823円 811円
要介護4 840円 827円
要介護5 858円 844円

出典:厚生労働省:どんなサービスがあるの? - 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

共同生活住居とは施設の建物のことです。1つの建物しかない場合と、2つの建物がある場合とで料金が変わります。
そして要支援2から要介護5までの段階ごとに変動する料金システムです。

ただし、日常生活費(食材料費・理美容代・おむつ代など)は、別途負担する必要があります。食事代は施設により変わりますが、おおむね500~800円程度です。

ショートステイは体験入居とは異なり、最大で30日まで施設で生活を続けることができます。1~2日だけのお試し体験入居よりも、より施設について知ることができます。

関連記事:老人ホームの入居にかかる費用は?相場と安く抑えるポイント

入居一時金と月額費用

グループホームの入居一時金は、施設により大きく異なるため0~数百万円と幅広いですが、平均で見ると20万円ほどです。

また、月額費用は12~18万円の施設が多いです。

 

月額費用のうち、賃料は、居室の大きさや施設の設備、地域などの条件によって左右されることが多く、一般的には都市部の方が高いと言われています。
その他の費用では外出イベント時の買物代や理美容代など多岐にわたるので、各施設に確認をしてみましょう。

有料老人ホームの費用

有料老人ホームの費用は、やはり施設の種類により変わります。介護付・住宅型・健康型と、それぞれの施設にかかる費用を一覧で見てみましょう。

介護付有料老人ホーム 15~30万円/月
住宅型有料老人ホーム 12~30万円/月
健康型有料老人ホーム 10~40万円/月

有料老人ホームの中でも、費用が高額になりがちであるのが健康型有料老人ホームです。費用に大差はありませんが、グループホームと有料老人ホームの違いとして、費用が異なることがあげられます。
グループホームの方が安いことが一般的です。ただし医療連携や看取りなどが行われるグループホームでは、有料老人ホームとそれほど変わらないこともあります。

また有料老人ホームでは初期費用が数百万円かかることもあります。ただし入居一時金を請求しない施設もあり、施設ごとの料金体系に依存すると考えてください。

グループホームのメリット

グループホームと有料老人ホームの違いを知ったうえで、どちらを選ぶべきなのでしょうか?それぞれのメリットについて知っておけば、選択するときの参考になるはずです。

まずはグループホームのメリットからご紹介します。

メリット①認知症を緩和するケアを受けられる

グループホームでは、認知症の症状を緩和するケアが受けられるメリットがあります。グループホームは基本的に、認知症の方を利用対象としているため、認知症への対応が手厚いタイプの施設です。「ユニット」と呼ばれる少人数のグループにわかれて過ごすため、1人1人の利用者へのケアが行き届きやすい環境が整えられています。
スタッフは認知症ケアの専門であり、適切な対処が受けられる施設です。

またユニット単位で生活をするため、一緒に過ごすスタッフやメンバーが限られていて安心感も得られます。認知症の進行を遅らせるには安心感が必要であるとも言われているため、グループホームは適した環境でしょう。
認知症の症状を改善させたい、進行を抑えたいと思われているなら、グループホームにメリットが感じられるはずです。

メリット②比較的費用を抑えやすい

グループホームのメリットとして、費用を抑えやすいこともあげられます。

有料老人ホームでは初期費用・月額費用とも、グループホームより高額なることがほとんどです。特に一部の有料老人ホームでは入居一時金が数百万円となることもあります。月額費用もグループホームより高い傾向です。

 

高齢者用施設の費用をご自身で支払う方は多いのではないでしょうか。受け取れる年金の範囲内で抑えようとすると、支払える金額は限られるでしょう。
費用を抑えながら高齢者向け施設に入居したいと考えているなら、グループホームをおすすめします。

有料老人ホームのメリット

それでは続いて、有料老人ホームのメリットについて見ていきましょう。

メリット①介護度が上がっても入居を継続できる

有料老人ホームでは種類によって、介護度が上がっても入居を継続できます。健康型有料老人ホームでは介護度が上がると退去を余儀なくされますが、その他の施設では介護サービスも受けられるためです。

グループホームの基本は「能力に応じて家事を分担して生活する」ことであるため、介護度が上がると入居が難しくなることがあります。
特に何らかの疾患により、看護が必要となった場合は有料老人ホームの方が適切です。グループホームでは有料老人ホームと違い、看護師が常駐していないこともあります。医療的なケアが必要な状態となれば、退居しなければならなくなるかもしれません。

介護度が上がっても、生涯にわたり入居を継続したいと考えているなら有料老人ホームの方が大きなメリットになります。将来的な介護度を考慮したうえで選択するなら、有料老人ホームがおすすめです。

メリット②看護師による医療サービスも受けられる

看護師による医療サービスが受けられることも、有料老人ホームのメリットのひとつです。有料老人ホームでは看護師が常駐していることが多く、看取りサービスも行っています。

そのため健康に不安のある方や、身近に家族がいない方にとって心強い存在となるはずです。グループホームでも看護師が配置されていることはありますが、施設によります。配置がないグループホームも少なくありません。
しかし有料老人ホームであれば看護師が配置されていることが基本です。疾患がある場合や、将来的な疾患の発症について考慮すると、有料老人ホームはメリットが大きいと言えます。

グループホームと有料老人ホーム以外の選択肢

グループホームと有料老人ホームの違いについて解説してきました。しかし高齢になったときに入居できる施設として、その他の選択肢があることも知っておいてください。

グループホームと有料老人ホーム以外に選択できる施設として、「特別養護老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」もあります。それぞれ、どのような施設であるか特徴を見ていきましょう。

特別養護老人ホーム

「特別養護老人ホーム」とは、基本的に要介護3以上の介護保険認定を受けている方が利用できる施設です。ただし要介護2以下の方でも、自治体からの許可を得られれば利用できることもあります。

特別養護老人ホームでは、日常生活への支援や機能訓練などのサービス提供が行われます。入浴・排泄・食事などの介助や日常生活を送るうえでの支援が主です。また機能訓練・健康管理なども行ってもらえます。
入居も可能ですが、ショートステイと呼ばれる一時的な入居や、日帰りでケアを受けるデイサービスでも利用可能です。

終身介護で看取りに対応しており、公的施設であることから料金も控えめです。施設数も多い傾向ですが、人気が高いことから順番待ちが生じることも少なくありません。

関連記事:特別養護老人ホームの費用相場は?入居できない場合の3つの対処法

サービス付き高齢者向け住宅

「サービス付き高齢者向け住宅」は、生活への支援をサービスとしている集合住宅です。「介護」ではなく「住宅」であるため、その他の高齢者向け施設よりも自由度が高いことが特徴と言えます。

外泊や外出にも制限が少なく、利用者が自由に暮らせ、さらに生活支援を受けられる施設です。高齢になっても安心して暮らせる賃貸住宅とイメージするとわかりやすいでしょう。単身での利用はもちろん、夫婦での入居も可能です。
バリアフリー構造であり、安否確認や生活相談をサービスとして受けられます。住宅建物内に医師や看護師、ヘルパーなど、ケアの専門家が常にいるため安心感があるはずです。

サービス付き高齢者向け住宅には2つのタイプがあり、「一般型」では自治体などの介護サービスを利用します。しかし「介護型」であれば施設の介護サービスを利用可能です。料金も控えめになっており、費用を抑えたいと考えている方にもおすすめします。

グループホームがおすすめの方

老人ホームとの違いを踏まえたうえでグループホームがおすすめの方は、認知症の症状を抑えたい、改善したいと思われている方です。グループホームでは有料老人ホームとは違い、認知症へのケアが手厚くなっています。少人数で過ごすため、気持ちの安定も期待できるでしょう。

認知症の症状に関して悩んでいる場合は、有料老人ホームよりグループホームが適しています。ただし要支援2以上であることが前提条件です。

有料老人ホームがおすすめの方

有料老人ホームをおすすめするのは、必要とする支援を手厚く受けたい方です。

グループホームよりも料金が高いものの、どのような方でも入居でき、サービスが手厚いのが有料老人ホーム。高齢になって介護保険サービスを利用していないものの、生活に不安がある状況でも利用できます。
施設の数も多いため、待ち時間なくすぐに入居できる可能性が高いことも魅力です。

介護度が高くなく、生活に不安を感じている方であれば、有料老人ホームをおすすめします。

グループホームと有料老人ホームの違いは費用・サービス面

いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、グループホームと有料老人ホームの違いについてご理解いただけたと思います。

グループホームは費用では費用を抑えながら、認知症のケアを得意としています。対して有料老人ホームでは介護度に関わらず、高齢の方のケアを中心としてサービスを提供していることが違いです。

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[1]

参照:WAM NET:共同生活援助(グループホーム)

[2]

参照:厚生労働省:どんなサービスがあるの? - 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

[3]

参照:WAM NET:有料老人ホーム

[4]

参照:厚生労働省:(PDF)有料老人ホームの概要

[5]

参照:厚生労働省:(PDF)サービス付き高齢者向け住宅等の月額利用料金

[6]

参照:厚生労働省:(PDF)有料老人ホームの類型

監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

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