【要介護度別】在宅介護の費用を徹底解説|負担を抑える公的制度や施設との費用比較も

「親の在宅介護を始めたいけれど、費用は一体いくらかかるのだろう?」
介護を検討する際、多くの方が最初に直面するのがお金の不安です。この記事では、在宅介護にかかる費用の内訳から、要介護度別のリアルな費用相場、そして負担を少しでも軽くするための公的な制度まで、網羅的に解説します。
在宅介護の費用は、大きく分けて「介護保険サービス費」と「それ以外の日常生活費」の2つで構成されます。この記事を読めば、費用の全体像を正しく理解し、ご自身の状況に合わせた資金計画を立てるための具体的なヒントが得られます。漠然とした費用の不安を解消し、安心して在宅介護の準備を進めましょう。
在宅介護の費用は「介護サービス費」と「日常生活費」で考える
在宅介護にかかる月々の費用を考えるとき、まず「介護保険が適用される費用」と「介護保険が適用されない費用」の2種類に分けて捉えることが大切です。この2つを合計した金額が、在宅介護全体の費用となります。
介護保険サービスの自己負担は所得に応じ1割~3割
訪問介護やデイサービスといった介護保険サービスを利用した場合、かかった費用のうち原則1割が自己負担となります。ただし、一定以上の所得がある方は、所得に応じて自己負担割合が2割または3割になります。この介護サービス費が、在宅介護における中核的な費用の一つです。
| 自己負担割合 | 対象となる方(目安) |
|---|---|
| 3割 | 本人の合計所得金額が220万円以上で、 同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が 単身で340万円以上、2人以上世帯で463万円以上の方 |
| 2割 | 本人の合計所得金額が160万円以上で、 同一世帯の65歳以上の方の「年金収入+その他の合計所得金額」が 単身で280万円以上、2人以上世帯で346万円以上の方 |
| 1割 | 上記以外の方 |
※上記は2024年8月時点の一般的な基準です。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
食費やおむつ代など、介護保険適用外の費用も把握する
介護保険が適用されない費用、つまり全額自己負担となる費用も見落とせません。例えば、日々の食費や光熱費、水道代といった生活費はもちろん、おむつや尿取りパッドなどの消耗品費、通院にかかる交通費や医療費などがこれにあたります。これらの費用は生活スタイルによって変動するため、事前にリストアップして概算しておくことが重要です。
【費用の内訳】在宅介護でかかる主な費用項目
それでは、在宅介護にかかる費用を具体的な項目に分けて見ていきましょう。
介護保険サービスに関わる費用
介護保険が適用されるサービスや住宅環境の整備にかかる費用です。
- 各サービス(訪問介護・通所サービス等)の自己負担額
- 訪問介護、デイサービス(通所介護)、ショートステイ(短期入所生活介護)など、利用したサービスの総費用額の1割~3割が自己負担となります。どのサービスをどのくらい利用するかは、ケアマネジャーが作成するケアプランによって決まります。
- 福祉用具のレンタル・購入費
- 介護用ベッドや車いすのレンタル、ポータブルトイレや入浴補助用具といった特定福祉用具の購入にかかる費用の1割~3割が自己負担となります。福祉用具の利用は、在宅での安全な生活を支える上で非常に重要です。
- 住宅改修(介護リフォーム)費
- 廊下や浴室への手すりの設置、段差の解消といった住宅改修にかかる費用も、支給上限額20万円までのうち、かかった費用の1割~3割の自己負担で実施できます。20万円の範囲内であれば複数回に分けて利用可能です。また、要介護度が著しく高くなった場合や転居した際には、再度利用できる場合があります。
介護保険適用外の日常生活に関わる費用
全額自己負担となる、日々の暮らしに直接関わる費用です。
- 食費・光熱費・水道代
- 在宅で生活する以上、当然かかる費用です。介護が必要になると、調理の手間や室温管理などで、以前よりも費用が増加する可能性があります。
- おむつ代などの消耗品費・交通費・医療費
- 紙おむつや尿取りパッド、使い捨て手袋などの消耗品費は、要介護度が高くなるにつれて大きな負担となることがあります。また、定期的な通院のための交通費や、病院で支払う医療費も別途必要です。
【要介護度別】在宅介護の費用相場は月々平均いくら?
在宅介護の費用は、要介護度によって利用できる介護保険サービスの区分支給限度額が決まっているため、要介護度が上がるほど高くなる傾向にあります。ここでは、公的なデータを基にした費用相場をご紹介します。
要支援1・2の場合の費用目安
要支援の方は、介護予防サービスを利用します。自立した生活を送ることを目的とした支援が中心です。
| 要介護度 | 支給限度額(1ヶ月あたり) | 自己負担額の目安(1割負担の場合) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 | 約5,032円 |
| 要支援2 | 105,310円 | 約10,531円 |
※上記は支給限度額の上限までサービスを利用した場合の目安です(1単位10円で計算)。
要介護1~5の場合の費用目安
要介護の方は、生活全般にわたる介護サービスを利用します。要介護度が高くなるほど、支給限度額も大きくなります。
| 要介護度 | 支給限度額(1ヶ月あたり) | 自己負担額の目安(1割負担の場合) | 在宅介護でかかる費用の合計(月額平均) |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 167,650円 | 約16,765円 | 約33,000円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 約19,705円 | 約41,000円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 約27,048円 | 約62,000円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 約30,938円 | 約71,000円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 約36,217円 | 約67,000円 |
※支給限度額は2024年時点のもので、1単位10円で計算しています。地域により金額は異なります。
※自己負担額は支給限度額の上限までサービスを利用した場合の目安です。
※月額平均費用は、公益財団法人生命保険文化センターの調査を参考に、介護サービス費とその他の費用の合計額の目安を示したものです。調査データに基づく平均値のため、要介護度と費用が必ずしも比例しない場合があります。
介護保険の支給限度額を超えると全額自己負担に
注意が必要なのは、要介護度ごとに定められた「支給限度額」を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となる点です。例えば、要介護1の方(支給限度額167,650円)が1ヶ月に20万円分のサービスを利用した場合、超過分の32,350円(200,000円 - 167,650円)はすべて自分で支払う必要があります。ケアプランを作成する際は、限度額内に収まるようにケアマネジャーとよく相談することが大切です。
在宅介護と施設介護の費用を比較|どちらが安い?
「在宅介護と施設入居、結局どちらが安いの?」という疑問は多くの方が抱きます。ここでは初期費用と月額費用に分けて比較してみましょう。
初期費用の比較|在宅(住宅改修等) vs 施設(入居一時金)
| 在宅介護 | 施設介護 | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 住宅改修や介護ベッド購入などで 数万~数十万円程度かかる場合がある。 |
有料老人ホームなどでは0円~数千万円の 入居一時金が必要な場合がある。 ※特別養護老人ホームは原則不要。 |
在宅介護の初期費用は、手すりの設置や段差解消などの住宅改修が中心です。一方、施設介護では、施設の種類によって入居一時金が必要な場合があります。
月額費用の比較|在宅 vs 有料老人ホーム・特養など
| 在宅介護 | 施設介護 | |
|---|---|---|
| 月額費用 | 5万円~8万円程度 (介護サービス費+日常生活費) |
・有料老人ホーム:15万円~30万円程度 ・特別養護老人ホーム(特養):8万円~15万円程度 |
月額費用で比較すると、一般的には在宅介護の方が安く抑えられる傾向にあります。ただし、在宅介護でも要介護度が高く、多くのサービスを利用する場合は、施設の費用と大差がなくなることもあります。どちらが適しているかは、費用だけでなく、本人の希望や必要なケアの内容、家族の介護力などを総合的に判断することが重要です。
在宅介護の経済的負担を軽減する4つの方法
少しでも経済的な負担を軽くするために、利用できる公的な制度があります。知っているかどうかで負担額が大きく変わることもあるため、ぜひ活用しましょう。
- 方法1:高額介護サービス費制度で自己負担の上限額を超えた分を還付
- 1ヶ月に支払った介護保険サービスの自己負担額(1割~3割の部分)が、所得に応じて定められた上限額を超えた場合、申請することで超過分が払い戻される制度です。上限額は世帯の所得状況によって細かく区分されています。
所得区分 負担上限額(月額) 現役並み所得者(課税所得380万円以上など)がいる世帯 140,100円(世帯) 住民税課税世帯 44,400円(世帯) 住民税非課税世帯 24,600円(世帯) うち、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が80万円以下の人など 15,000円(個人) 生活保護受給者など 15,000円(個人) ※上記は主な区分です。詳細はお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
- 方法2:医療費控除を申請する(おむつ代など)
- 本人または生計を同一にする家族が支払った医療費が年間10万円(または総所得金額等の5%)を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けることで税金が還付される可能性があります。介護費用の中では、訪問看護などの一部サービス費用のほか、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば、おむつ代も医療費控除の対象となります。2年目以降は条件を満たせば市区町村の確認書等で代用できる場合があります。
- 方法3:自治体独自の助成制度やサービスを確認する
- 国が定める制度のほかに、市区町村が独自に高齢者向けの助成金やサービスを提供している場合があります。例えば、紙おむつの現物支給や購入費の助成、訪問理美容サービスの費用補助など、内容は様々です。お住まいの自治体の広報誌やウェブサイトを確認したり、地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
- 方法4:自宅などの資産を活用する(リバースモーゲージ等)
- 自宅を担保に、金融機関などから生活資金を借り入れる「リバースモーゲージ」という仕組みもあります。契約者が亡くなった後に自宅を売却して一括返済する制度で、高齢者世帯の生活資金を確保する手段の一つです。ただし、金利の変動リスクや不動産価値の下落リスクなどもあるため、利用は慎重に検討する必要があります。
費用が払えない…追い詰められる前に知っておきたい選択肢
万が一、在宅介護の費用が払えずに追い詰められてしまった場合でも、諦める必要はありません。利用できる相談先や制度があります。
ケアマネジャーに相談してケアプランを見直す
まずは担当のケアマネジャーに費用の問題を率直に相談しましょう。支給限度額の範囲で、より費用を抑えられるサービスの組み合わせはないか、利用回数を見直すことはできないかなど、専門家の視点からケアプランの変更を一緒に考えてくれます。
費用負担の少ない公的な施設(特別養護老人ホームなど)への入居
在宅での生活継続が経済的に困難な場合は、費用負担が比較的少ない公的な施設への入居も視野に入ってきます。代表的なのが「特別養護老人ホーム(特養)」です。入居一時金が不要で、月額費用も所得に応じた負担軽減措置があるため、民間の有料老人ホームに比べて費用を抑えることができます。
生活保護制度の利用を検討する
世帯の収入や資産が国が定める最低生活費に満たない場合は、生活保護制度を利用できる可能性があります。生活保護を受けると、介護サービス費の自己負担分が「介護扶助」として賄われるため、原則無料でサービスを利用できます。申請窓口はお住まいの地域を管轄する福祉事務所です。
在宅介護の費用や家計に合う施設探しは「笑がおで介護紹介センター」へ
在宅介護の費用計画から、将来的な施設入居の検討まで、お金に関する悩みは尽きないものです。そんな時は、介護のプロに相談してみませんか。
ご予算や家計に応じた介護プランをご提案します
「うちの収入で、在宅介護は続けられる?」「もっと費用を抑える方法はない?」といった具体的なお悩みも、「笑がおで介護紹介センター」にお任せください。お客様の家計の状況を丁寧にお伺いし、無理なく介護を続けられるようなサービスの組み合わせや、公的制度の活用法などをアドバイスいたします。
在宅介護と施設入居の費用シミュレーションも可能
在宅介護を続けた場合と、施設に入居した場合の費用を具体的にシミュレーションし、比較検討することも可能です。メリット・デメリットを客観的な数字で見ることで、ご本人とご家族にとって最適な選択がしやすくなります。
費用に関するお悩みも専門の相談員が無料でサポート
「笑がおで介護紹介センター」では、費用に関するご相談を含め、施設探しに関するあらゆるサポートを無料で行っています。経験豊富な相談員が、お客様の不安に寄り添い、最適な解決策を一緒に見つけ出します。一人で抱え込まず、まずはお気軽にお問い合わせください。

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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