身寄りのない叔父(叔母)の面倒は誰の責任?扶養義務から相談先まで解説

子どものいない叔父(叔母)が入院し、病院から「身元保証人になってほしい」「退院後の行き先を決めてほしい」と連絡を受けて戸惑っていませんか?親御さん自身も高齢で、代わりに動くのが難しく、実質的な窓口がご自身一人になっている方も少なくありません。
法律上、身寄りのない叔父(叔母)の面倒を甥・姪が引き受ける義務は、原則としてありません。この記事では、義務が例外的に生じる条件や「面倒」の中身の分け方、身元保証人を頼まれたときの対応から相談先までを解説します。
この記事を読めば、どこまで引き受けるかをご自身で決める基準が持て、次に誰へ連絡すればよいかがはっきりするでしょう。
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。
身寄りのない叔父(叔母)の面倒は誰が見る?
子どものいない叔父(叔母)が倒れたとき、真っ先に連絡が入るのは甥・姪です。ただ、連絡が来る立場と、法律上の義務を負う立場は別のものです。民法がどこまでを親族の義務としているのかを知ると、これから何を引き受けるかを判断する土台ができます。
まずは、甥・姪の法律上の立場と、例外的に義務が生じる場面を見ていきます。
甥・姪は扶養義務を負わない
原則として、甥・姪に叔父(叔母)の生活を支える義務はありません。民法877条1項が扶養義務を負う人として挙げているのは、直系血族と兄弟姉妹だけです。
親族の範囲は民法725条で六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族と定められ、親等の数え方は民法726条によります。ご自身から親(1親等)、祖父母(2親等)とさかのぼり、そこから叔父(叔母)へ下って3親等です。
甥・姪は法律上の親族ではあるものの、当然に扶養を求められる立場ではありません。叔母のケースでも数え方はまったく同じで、法律上の立場に違いはないと考えてよいでしょう。
家庭裁判所の審判で義務が生じる
民法877条2項によれば、特別の事情があるときは、家庭裁判所が三親等内の親族に扶養義務を課す場合があります。甥・姪もこの三親等内の親族です。
特別の事情があるかどうかは、親族の間に生活を共にしてきた実態があるかで判断されます。長く同居して家計を一つにしてきた、過去に叔父(叔母)から生活の援助を受けていたといった関係があると、審判の対象になる可能性が高まります。
逆に、盆と正月に顔を合わせる程度の付き合いであれば、審判で義務が認められる場面は限られるでしょう。義務が生じるのは審判があったあとで、事情が変われば取り消しを求められる点も覚えておきましょう。
扶養義務で介護までしなければならない?
仮に審判で扶養義務が認められたとしても、そこで中心になるのはお金の援助です。身のまわりの世話まで一律に義務づける規定は、民法にはありません。ただし、扶養の程度や方法は当事者の話し合いで決めるのが原則で、まとまらないときは家庭裁判所が判断します。
ここでは、義務の中身と、世話をどこまで引き受けるかの決め方を整理します。
求められるのは生活費の負担にとどまる
扶養義務の中身は、生活費を支える金銭的な援助が基本です。民法879条は、扶養の程度や方法について話し合いがつかないときは、扶養を受ける人にどれくらいの援助が必要か、扶養する人にどれくらいの経済的な余裕があるかなど、事情を総合的に考慮して家庭裁判所が定めると規定しています。
生活保護の運用でも、甥・姪など三親等内の親族に求められる扶養は「生活扶助義務」と位置づけられます。求められる水準は、社会通念上ご自身にふさわしいと認められる程度の生活を損なわない限度までです。ご自身の家計を削ってまで、叔父(叔母)の生活費を負担する必要はありません。
扶養能力の調査でも、金銭の援助と、定期的な訪問や電話といった精神的な支援は分けて確認されます。お金の話と世話の話は、制度のうえでも別ものだと押さえておきましょう。
身のまわりの世話を引き受けるかは自分で決める
入浴や食事の介助といった身のまわりの世話まで、法律が甥・姪に義務づけてはいません。ただし、家庭裁判所の扶養請求調停では、引き取って世話をする形(引取扶養)も話し合いの対象に含まれます。「介護は一切しなくてよい」と断定はできず、内容は当事者の話し合い次第で決まります。
だからこそ、できる範囲をご自身で決めて、先に病院や施設の担当者へ伝えておくと安心です。手続きの窓口だけは引き受ける、預貯金の管理には関わらないと線引きしておけば、あとから関わりが広がりすぎる事態を防げます。
叔父(叔母)の面倒はどこまで引き受ける?
「面倒を見る」と一口にいっても、内容は連絡や付き添いから金銭の管理までさまざまです。すべてを引き受ける前提で考えると負担は際限なく広がるため、役割を分けて、自分が担う部分と人に任せる部分を決めておくと迷いが減ります。
ここでは、引き受ける範囲を決めるための3つの区分を紹介します。
甥・姪でも無理なくできること
まず負担が軽いのは、時間もお金も大きく取られない関わりです。連絡役として動くだけでも、叔父(叔母)の暮らしを支える体制づくりは進みます。
負担の小さい関わりには、次のようなものがあります。
- 地域包括支援センターへ連絡する
- 介護保険の申請に付き添う
- 週に一度、電話で様子を聞く
- 入院時の説明に同席する
これらは一度きり、あるいは短時間で済む関わりで、ご自身の仕事や家庭を大きく削らずに続けられます。特に大きいのが最初の連絡役で、ここが支援の専門職につながる入り口です。連絡さえつながれば、そのあとの調整はケアマネジャーや相談員が引き継いでくれます。
公的サービスに任せられること
叔父(叔母)の日常の世話は、公的なサービスへ渡せる部分が広くあります。要介護認定の申請は、地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業者が代行できると介護保険法27条1項に定められています。甥・姪が平日に何度も窓口へ通う必要はありません。
認定後のケアプランの作成もケアマネジャーの仕事で、利用者の負担はありません。食事や入浴、排せつの介助は訪問介護の身体介護にあたります。調理や洗濯、掃除は生活援助と呼ばれ、資格をもつ職員の担当です。
見守りや食事の確保も、自治体の事業でまかなえます。大阪市には配達時に安否を確認する食事サービスや、24時間365日の健康相談がついた緊急通報システムがあります。中身や利用料は自治体ごとに異なるため、叔父(叔母)がお住まいの自治体の窓口で確かめておきましょう。
引き受けると負担が重くなること
反対に、引き受けると負担が大きくなるのがお金と責任に直結する役割です。連帯保証人になると、叔父(叔母)ご本人と同等の支払い義務を負います。
身元引受人も、契約書で連帯保証を兼ねていれば同じです。施設の利用料が滞れば、請求はそのままご自身に届きます。
預貯金の管理も同じく重い役割です。介護費用を立て替えて記録を残す作業が続くうえ、ほかの親族から使い道を疑われる原因にもなります。
見落とされがちなのが、仕事との両立です。介護休業や介護休暇を取れる対象家族は、配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の父母に限られており、叔父(叔母)は含まれません。付き添いのたびに有給休暇や欠勤で対応する形になるため、引き受ける前に勤務先の制度を確かめておきましょう。
身元保証人を頼まれたらどうする?
甥・姪が最初に迷うのは、病院や施設から身元保証人を求められる場面です。断ってよいのか、断ったら叔父(叔母)は行き場を失うのかと悩む方は多いでしょう。
ここでは、保証人に何を求められるのかを確認したうえで、引き受けない選択をした場合の道筋まで解説します。
保証人の役割を確認する
身元保証人に求められる役割は、大きく3つの場面に分かれます。利用料が払われないときの金銭面、急病や事故が起きたときの緊急連絡、退去や死亡のときの引き取りです。
このうち、特に負担が重いのが金銭面です。ただし、施設の利用料のように将来いくらになるか決まっていない債務を個人が保証する契約は、極度額(上限額)を定めなければ効力を生じないと民法465条の2が定めています。契約書に上限額の記載があるかは必ず確認しましょう。
しかし、身元保証人になっても医療行為に同意する権限は生じません。手術や延命治療の判断はご本人の意思にかかわるもので、第三者が代わって決められる性質のものではないためです。
関連記事:老人ホームの入居に保証人・身元引受人が必要となる理由とその役割
保証人がいないだけでは入所を断れない
保証人を引き受けなくても、叔父(叔母)が施設に入れなくなるわけではありません。厚生労働省は平成30年8月30日付けの通知(令和7年7月30日に一部改正)で、介護保険施設に身元保証人等を求める法令上の規定はないと示しています。保証人がいないだけでは、サービス提供を拒む正当な理由になりません。
同じ通知は、保証人がいないだけを理由に入所を拒む取扱いや退所の要求を不適切とし、都道府県などに指導を求めています。医療機関でも、同じ理由で入院を拒むのは医師法19条1項に抵触する行為です。
ただし、現場の実態は別です。厚生労働省の調査研究事業では、介護施設への入所時に本人以外の署名を求めている施設が95.9%を占めると報告されています。制度上は断れないと知ったうえで、代わりの手段も用意しておきましょう。
保証人の代わりになるサービスを検討する
親族が保証人にならない場合の受け皿が、民間の高齢者サポートサービスです。消費者庁はこの種のサービスを、日常生活支援・身元保証・死後事務の3つに整理しており、事業者によって組み合わせは異なります。
費用の目安は、初期費用が数十万円から、月額が数千〜数万円程度です。預託金を含めると、利用開始時に100万円以上を求められる例も報告されています。
契約前に確かめておきたい点は、次のとおりです。
- 頼みたい支援の中身
- 支払える総額の上限
- 事業者ができない範囲
- 契約書の控えの保管
国民生活センターには、契約内容を理解しないまま高額な契約をした例の相談が毎年寄せられています。2026年6月公布の法改正でこの種の事業は第二種社会福祉事業に位置づけられましたが、契約を急がず地域包括支援センターへ相談しましょう。
関連記事:老人ホームは身元保証人がいないと入れない?代行サービスや後見制度の活用法
保証人なしで入居できる施設を探す
保証人を立てられない場合でも、受け入れの実績がある施設は各地にあります。先ほどの通知が直接対象とする介護保険施設、なかでも特別養護老人ホームは受け入れの相談がしやすく、ケアハウス(軽費老人ホーム)で対応できる場合もあります。有料老人ホームの運営指針にも、入居の要件として身元引受人を求める規定はありません。
とはいえ、対応の可否は施設ごとに大きく分かれます。一件ずつ電話で確認していくのは手間がかかるため、地域の事情に詳しい相談先に絞り込みを任せるほうが確実です。成年後見制度や身元保証会社を組み合わせて入居につなげた事例は、関西にもあります。叔父(叔母)の状況を伝えれば、保証人なしで相談できる施設に絞って探せます。ご自身が保証人になる前に、まず受け入れ先の選択肢を把握しておきましょう。
関連記事:京都で身寄りなし・保証人がいない方の老人ホーム探し|成年後見や身元保証会社を活用した厳選解決事例まとめ
叔父(叔母)を支える公的な制度
叔父(叔母)の判断能力が落ちてくると、預貯金の引き出しや施設の契約はご本人だけでは進みません。こうした場面を甥・姪が抱え込まずに済むよう、本人を支える公的な制度が用意されています。
ここでは、代表的な3つの仕組みを紹介します。
成年後見制度
成年後見制度は、判断能力が不十分になった人に代わって、財産の管理や契約の手続きを担う人を家庭裁判所が選ぶ仕組みです。ご本人の状態に応じて、次の3つの類型に分かれます。
- 後見:判断能力が欠けている状態
- 保佐:判断能力が著しく不十分な状態
- 補助:判断能力が不十分な状態
選ばれた後見人は預貯金の管理や施設の契約を代理しますが、食事の世話や掃除といった直接の介護は担当しません。申立てができるのは本人・配偶者・四親等内の親族などで、三親等にあたる甥・姪も申立人になれます。
なお、2026年6月に成立した民法の改正で、後見と保佐を廃止して補助へ一元化する見直しが決まりました。施行は公布から2年6か月以内で、それまでは現行の3類型が続きます。
関連記事:老人ホーム入居と成年後見制度:必要な手続きと費用、注意点を徹底解説
市区町村長による後見の申立て
後見の申立ては、親族がするものとは限りません。老人福祉法32条により、65歳以上の人に特に必要があると認めるときは、市区町村長が家庭裁判所へ審判を請求できます。
厚生労働省が示す事務の流れでは、まず戸籍で2親等以内の親族の有無を確かめ、いなければ3親等や4親等に申立てをする人がいるかを確かめます。甥・姪がいても申立ての意思がはっきりしなければ、市区町村長による申立ての対象です。
最高裁判所の集計では、令和7年の成年後見関係事件の申立人の内訳で、市区町村長によるものが10,139件(約23.7%)を占めました。大阪市では、生活保護を受けている方などを対象に施設入所者の報酬を月18,000円以内で助成します。助成の有無や上限は自治体ごとに異なるため、申立ての前に担当の窓口で確かめましょう。
日常生活自立支援事業
叔父(叔母)の判断能力が落ち始めた段階で使えるのが、社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業です。後見人を立てるほどではないものの、お金の出し入れや書類の手続きに不安が出てきた人が対象で、契約内容を理解できる状態にあるかが条件になります。
援助の内容は、福祉サービスや行政の手続きの支援です。あわせて、生活費の払い出しや公共料金の支払いといった日常的な金銭管理、定期的な訪問も受けられます。
利用料は実施主体が定め、訪問1回あたり1,200円程度が目安です。生活保護を受けている世帯は無料になります。
2026年6月の法改正で対象は頼れる身寄りがない高齢者へ広がり、入院や入所の手続き支援も加わります(施行は2027年4月以降)。叔父(叔母)が住む地域の社会福祉協議会へ、早めに問い合わせてみましょう。
叔父(叔母)の介護費用は誰が払う?
介護にかかるお金を甥・姪が負担するのではないかと、不安に感じる方は多いでしょう。原則はご本人の年金と資産でまかない、足りない分を公的な支援で補います。
ここでは、費用をどこから出すのかを順に整理します。
本人の年金と預貯金から支払う
介護費用は、叔父(叔母)ご本人が支払うのが大原則です。厚生労働省の集計では、令和6年度末時点の平均年金月額は厚生年金で15万1,000円、国民年金で5万9,000円です。厚生年金を受け取っているなら、特別養護老人ホームの多床室のように費用を抑えられる施設を選べば、年金だけでまかなえる場合もあります。
問題になりやすいのは、ご本人の判断能力が落ちて口座からお金を出せなくなった場合です。甥・姪が代わりに引き出そうとしても、金融機関の取扱いによっては認められず、立て替えだけが続いてしまいます。
こうしたときに活用できるのが、前の章で説明した成年後見制度や日常生活自立支援事業です。ご本人の財産からご本人の費用を支払う手続きを整えれば、ご自身の家計から持ち出す必要はなくなります。
関連記事:介護費用を親の年金だけでまかなえない場合の対策ガイド|不足分は誰が負担するのか扶養義務や節約術を解説
足りないときは公的な支援で補う
ご本人の年金と預貯金で足りない場合も、負担を抑える公的な制度があります。介護サービス費の自己負担が上限を超えた分は高額介護サービス費として払い戻され、住民税が課税されている一般的な世帯では月44,400円が上限です。
施設に入所する場合は、食費と居住費を軽くする負担限度額の制度も使えます。世帯全員が住民税非課税で、預貯金などの資産が一定額以下におさまる世帯が対象です。なお、資産の要件は見直しの検討が進んでいるため、申請の際は最新の基準を窓口で聞いておきましょう。
それでも生活が成り立たないときの支えが、生活保護です。生活保護には介護扶助が含まれ、特別養護老人ホームなどの施設介護も対象になります。甥・姪が負担を引き受ける前に、福祉事務所やケアマネジャーへ相談しましょう。
関連記事:老人ホームの費用が払えないときの対処法|利用できる制度や相談先を解説
叔父(叔母)の面倒を一人で抱えない方法

窓口がご自身一人になっていると感じるときほど、外に相談先を作る意味は大きくなります。専門職に入ってもらい、ほかの親族とも役割を分け合えば、ご自身が引き受ける量は確実に減ります。
ここでは、抱え込まないために踏みたい3つの手順を見ていきましょう。
地域包括支援センターに連絡する
最初の相談先は、叔父(叔母)が住む地域の地域包括支援センターです。自治体が設置する高齢者の総合相談窓口で、全国に5,487か所(支所を含めると7,374か所)が置かれています。
保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員の3職種が配置され、介護保険の申請から権利擁護まで幅広く扱います。相談できるのはご本人だけではなく、離れて暮らすご家族や親族からの相談も対象です。
相談は無料で、電話でも受け付けています。「叔父が入院していて、退院後の行き先を決められない」と伝えるだけで、次に何をすればよいかを一緒に整理してもらえます。遠方に住んでいて足を運べない場合も、まずは電話をかけてみましょう。
関連記事:地域包括支援センターとは?役割や相談できる内容、利用方法をわかりやすく解説
できないことを早い段階で伝える
できない部分は早めにはっきり伝えるほうが、あとのやり取りが楽です。病院や施設の担当者は、ご家族の事情がわからないまま「一番近い親族」として甥・姪に連絡を続けます。
伝えるときは、断るのではなく引き受ける範囲を示しましょう。「入院の連絡は受けられますが、保証人と金銭管理はできません」のように、できる部分とできない部分を並べて伝えると、相手も次の手を探せます。
伝えた内容は、担当のケアマネジャーや病院の相談員にも共有しておきましょう。関わる人の間で前提がそろえば、あとから想定外の役割を求められる場面を減らせます。口頭で伝えたときは、日付と相手の名前だけでも手元に控えておくと安心です。
ほかの親族と役割を分担する
叔父(叔母)に兄弟姉妹やほかの甥・姪がいるなら、役割を分け合う相談をしましょう。民法878条は、扶養する人が複数いるときの順序を、まず親族間の話し合いで決め、まとまらない場合は家庭裁判所が定めると規定しています。
分担は、金額を等分するだけではありません。連絡役、通院の付き添い、費用の立て替えの精算と、担当を分ける方法もあります。遠方の親族には、書類の郵送や電話での確認を担ってもらうと、負担の偏りが小さくなります。
話し合った内容は、簡単でよいので記録に残しておきましょう。誰が何を引き受けたかがはっきりしていれば、あとから話がずれたときに確認できます。
身寄りのない叔父(叔母)でよくある質問
最後に、甥・姪の立場から相談の多い疑問をまとめました。亡くなったあとの手続きは、事前に流れを知っておくだけで慌てずに済みます。
ここでは、葬儀と相続放棄をめぐる2つの疑問にお答えします。
叔父(叔母)が亡くなったら葬儀は誰がする?
葬儀を必ず甥・姪が出さなければならない決まりはありません。死亡届の提出義務があるのは、同居の親族やその他の同居者・家主などで、離れて暮らす甥・姪は届け出られる立場ではあるものの、義務者ではありません。
葬儀を出す人がいない場合は、墓地埋葬法9条により、死亡地の市町村長が火葬または埋葬をします。ご本人に資力がなく葬祭を担う扶養義務者もいないときは、生活保護の葬祭扶助が利用でき、支給額は大人の場合で222,000円以内(1級地・2級地。3級地は194,300円以内)です。
実際に葬儀を出すかどうかは、ご自身の気持ちと事情で決めて差し支えありません。迷うときは、叔父(叔母)が住んでいた自治体の福祉の窓口に、早い段階で相談しておきましょう。
相続放棄をしても家の片づけは必要?
相続放棄をした人が家財の片づけまで負うのは、放棄の時点でその財産を実際にもっていた場合に限られます。民法940条は、相続放棄をした人が相続財産を現に占有している場合、それを引き渡すまでの間は保存する義務を負うと定めています。
遠方に住んでいて叔父(叔母)の家に立ち入っていないなら、原則として片づけの義務は生じません。誰も引き継ぐ人がいない財産は、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が処理します。
なお、相続放棄には、ご自身のために相続が始まったと知ってから3か月の期限があります。判断に時間が必要なときは家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられるため、放置せず早めに動きましょう。
まとめ
身寄りのない叔父(叔母)の面倒を見る法的な義務は、甥・姪には原則としてありません。家庭裁判所の審判で扶養義務が生じる場合も、求められるのは生活費の援助が中心です。
引き受ける範囲は、負担の軽い連絡役と、公的サービスへ渡せる日常の世話、そして保証人や金銭管理のような重い役割の3つに分けて考えましょう。介護保険施設では、身元保証人がいないだけを理由に入所を断る取扱いは認められておらず、保証人を引き受けない選択でも受け入れ先を見つける道は残されています。
まずは叔父(叔母)が住む地域の地域包括支援センターへ電話し、状況を伝えるところから始めましょう。施設探しや保証人の悩みで迷ったときは『笑がおで介護紹介センター』へご相談ください。
参考サイト
- 扶養請求調停|裁判所
- 相続の放棄の申述|裁判所
- 成年後見関係事件の概況―令和7年1月〜12月―|裁判所
- 成年後見制度・成年後見登記制度Q&A|法務省
- 「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)について|法務省
- 高齢者等終身サポート事業者ガイドライン|法務省
- 市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について|厚生労働省
- 「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」の一部改正について|厚生労働省
- 身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて|厚生労働省
- 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインについて|厚生労働省
- 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について|厚生労働省
- 育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省
- 生活保護実施要領等(2025年4月1日施行)|厚生労働省
- 生活保護法による保護の基準(別表第8・葬祭扶助基準)|厚生労働省
- 生活保護制度|厚生労働省
- 日常生活自立支援事業|厚生労働省
- 地域包括支援センターについて|厚生労働省
- 成年後見制度利用支援事業の適切な実施について|厚生労働省
- 市町村における成年後見開始の申立事務の流れの例示|厚生労働省
- 令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省
- 高額介護サービス費の負担限度額の見直し(介護保険最新情報Vol.997)|厚生労働省
- 補足給付の現状について|厚生労働省
- 社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について|厚生労働省
- 身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査結果報告書|総務省
- 「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ|消費者庁
- 身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意|国民生活センター
- 成年後見制度利用支援事業|大阪市
- 生活支援型食事サービス事業|大阪市
- 緊急通報システム事業|大阪市

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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