小規模デイサービスは要支援でも通える?対象者と費用の目安を解説

ケアマネジャーから近所の小規模デイサービスを勧められたものの、普通のデイサービスと何が違うのか、費用が高くならないか気になっていませんか?聞き慣れない名前だと、親御さんに合うのかどうかも判断しづらいものです。
原則として、要支援1・2の親御さんは小規模デイサービスを利用できません。受け皿になるのは自治体が運営する総合事業ですが、事業所によっては同じ建物に通える場合もあります。
この記事では、対象になる人の条件と費用の目安、通常規模のデイサービスや小規模多機能型居宅介護との違い、見学と申し込みの進め方までを解説します。この記事を読めば、親御さんに合う施設を判断し、月にいくらかかるかの見当をつけたうえで、見学の予約へと進めるでしょう。
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。次の介護報酬改定(令和9年度)で費用が変わる場合があります。
小規模デイサービスとは
小規模デイサービスは通称で、制度上の名称は地域密着型通所介護です。定員が18人以下と少なく、住み慣れた地域で日帰りの介護を受けられます。同じ日帰りのサービスでも、通常規模のデイサービスとは料金も通える範囲も別の扱いです。
ここでは、制度上の位置づけと定員の決まりから、小規模デイサービスの輪郭を見ていきます。
地域密着型通所介護への移行
小規模デイサービスの正式な名称は、地域密着型通所介護です。平成28年4月1日の介護保険法の改正で、利用定員18人以下の小規模な通所介護事業所が、この地域密着型通所介護へ移りました。
大きく変わったのは、事業所を指定して監督する立場です。それまでは都道府県が担っていましたが、移行後は自治体が指定・監督しています。自治体が地域の実情にあわせて事業所を見る仕組みになったため、利用できる人にも住まいの条件が付くようになりました。
パンフレットやケアマネジャーの説明で「地域密着型通所介護」と書かれていても、日常の会話で使う小規模デイサービスと同じサービスだと考えて差し支えありません。
関連記事:介護保険の地域密着型サービスとは?9つのサービス内容や利用条件、費用をわかりやすく解説
利用定員18人以下の少人数
地域密着型通所介護は、同時に受け入れる利用者が18人以下と決められています。19人以上を受け入れる事業所は、地域密着型ではない通所介護に区分され、こちらは利用者数の規模によって通常規模型と大規模型に分かれます。
18人以下の定員は、同じ時間帯に受け入れられる人数の上限です。午前と午後で入れ替える事業所では、1日に通う人数の合計はこれを上回ります。実際には定員10人前後で運営する事業所もあり、民家を改修した建物で過ごすところもあります。大人数のにぎやかな場が苦手な親御さんには、この規模の小ささが安心につながるでしょう。
見学に行ったら、その日に何人が通っているかを聞いてみましょう。定員いっぱいの日と少ない日では雰囲気が変わるため、実際に通う曜日の人数も知っておくと安心です。
通常規模のデイサービスとの違い
小規模デイサービスと通常規模のデイサービスは、食事や入浴、機能訓練といったサービスの中身そのものは大きく変わりません。違いがはっきり出るのは、1回あたりの料金と、通える事業所の範囲の2点です。どちらを選ぶかで、毎月の負担も候補に挙がる事業所も変わってきます。
ここでは、親御さんに合う種類を選ぶうえで差が出る2点を解説します。
1回あたりの料金
同じ時間だけ通う場合、小規模デイサービスのほうが1回の料金は高くなります。要介護1の親御さんが7時間以上8時間未満のサービスを使うと、地域密着型通所介護は753単位、通常規模の通所介護は658単位です。
デイサービスの場合、大阪市では1単位10.72円で計算されます。1割負担の場合、地域密着型は1回808円、通常規模は706円が目安です。1回あたりの差は約100円ですが、週2回通えば月に800円ほどの差になります。
なお、この金額は介護保険のサービス費のうち、基本料金にあたる部分の目安です。実際にはこのほかに、加算や食費などの実費がかかります。
通える地域の範囲
小規模デイサービスは、原則として事業所がある自治体に住民票がある人しか使えません。自治体が指定して監督する地域密着型サービスのため、その自治体の被保険者が対象になります。
一方、通常規模の通所介護には住まいの制限がありません。隣の市にある事業所でも、ケアプランに位置づけられれば利用できます。
この決まりの差は、事業所を探せる範囲に表れます。通常規模なら市をまたいで候補を広げられますが、小規模デイサービスで選べるのは親御さんが住む自治体の中だけです。ほかの自治体の事業所が気になるときは、使えるかどうかをケアマネジャーに確かめてもらいましょう。
小規模多機能型居宅介護との違い
名前がよく似ているのが、小規模多機能型居宅介護です。どちらも自治体が指定する地域密着型サービスで、少人数の点も共通していますが、使える範囲も料金の決まり方も別のサービスです。ケアマネジャーから両方を勧められ、どちらが親御さんに適しているのか迷うご家族もいます。
ここでは、選ぶときの分かれ目になる2つの違いに絞って整理します。
泊まりと訪問の有無
大きな違いは、泊まりと訪問が付くかどうかです。小規模デイサービスは日帰りで通うサービスに限られ、夜は自宅で過ごします。夜間の見守りが必要になったら、別のサービスを組み合わせて対応します。
小規模多機能型居宅介護は、通いを中心に、訪問と泊まりを組み合わせて使えるサービスです。同じ事業所の職員が自宅を訪ねたり、そのまま泊めてもらったりできるため、急な体調の変化やご家族の外出にも対応できます。
日中を過ごす場所だけを探しているなら小規模デイサービス、夜や自宅での支援まで一つの事業所にまとめたいなら小規模多機能型居宅介護と考えると、選びやすくなるでしょう。
関連記事:小規模多機能型居宅介護とは?デイサービスとの違いや料金、メリットをわかりやすく解説
料金の仕組み
小規模デイサービスと小規模多機能型居宅介護では、料金の決まり方も対照的です。小規模デイサービスは、通った回数に応じて費用がかかる仕組みで、週2回なら2回分、週3回なら3回分の料金になります。
小規模多機能型居宅介護は、要介護度ごとに決まった月額の定額制です。通いや泊まりを何回使っても介護保険の自己負担は変わらないため、利用が多い方ほど割安になります。逆に、月に数回しか使わない場合は割高です。
親御さんが週に何回くらい通いそうかで、どちらが向いているかは変わります。回数がまだ決まっていない段階なら、ケアマネジャーに両方の見積もりを出してもらい、月ごとの負担を比較してみましょう。
小規模デイサービスの対象者
小規模デイサービスを使えるのは、要介護認定を受けた人のうち、一定の条件を満たす人です。判断の分かれ目になるのは、要介護度と住民票のある自治体の2つになります。どちらか一方でも外れると、その事業所には申し込めません。
ここでは、対象になる人の条件を2つに分けて見ていきます。
要介護1〜5の認定を受けた人
小規模デイサービスの対象は、要介護1から要介護5の認定を受けた人です。要支援1・2と認定された場合は、原則として対象になりません。
平成28年4月の法改正で、要介護の人は地域密着型通所介護、要支援の人は自治体が運営する総合事業のサービスへと分かれました。同じ建物に通っていても、制度としては別のサービスとして扱われます。
親御さんの要介護度が書かれているのは、介護保険被保険者証です。まだ認定を受けていない場合は、お住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターで要介護認定を申請するところから始まります。
認定の有効期間は原則6か月で、更新後は12か月が基本です。有効期間の途中でも心身の状態が変われば、区分変更を申請できます。
事業所と同じ自治体に住む人
もう一つの条件は、住民票が事業所と同じ自治体にあるかどうかです。大阪市の事業所なら大阪市の被保険者、東大阪市の事業所なら東大阪市の被保険者が対象になります。
住民票の住所と実際に暮らす場所が違う場合は、注意が必要です。たとえば、親御さんが子どもの家の近くで暮らしていても、住民票を移していなければ、その自治体の事業所は原則として使えません。
対象になるかどうかは、介護保険被保険者証に書かれた自治体名で見分けられます。事業所のある自治体と同じであれば、住まいの条件は満たしています。
あとは事業所の空き状況や送迎の範囲を調べる段階です。判断に迷うときは、ケアマネジャーに確認を頼みましょう。
小規模デイサービスは要支援でも通える?
要支援と認定された親御さんが小規模デイサービスに申し込めるのか、迷うご家族は多くいます。結論からいうと、地域密着型通所介護としては利用できません。要支援の人には介護予防を目的とした別の制度が用意されており、通う先が同じ建物になる事業所もあります。
ここでは、要支援の人が使えるサービスと、同じ事業所に通えるケースを解説します。
要支援の人が使う総合事業のサービス
要支援1・2の親御さんが通うのは、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の通所型サービスです。自治体が運営する介護予防のサービスで、内容も名称も自治体ごとに決められています。
大阪市の場合は、入浴や食事、機能訓練などを3時間以上受ける介護予防型通所サービスなど、3種類が用意されています。費用は1回ごとではなく月ごとの定額で、週1回程度の利用なら1割負担で月1,928円が目安です。
要介護の人が使う小規模デイサービスとは、料金の数え方も申し込みの窓口も異なります。要支援の親御さんの利用を考えるときは、地域包括支援センターに相談するところから始めましょう。
関連記事:デイサービスは健康な人でも通える?介護認定なしで使える3つの選択肢
同じ事業所に通えるケース
小規模デイサービスの事業所のなかには、総合事業の通所型サービスの指定もあわせて受けているところがあり、この場合は要支援の親御さんも同じ建物に通えます。
要支援向けの第1号通所事業と要介護向けの地域密着型通所介護は、同一施設で一体的に実施できる決まりです。同じ職員から同じ内容の支援を受けられるため、要介護度が上がったあとも慣れた場所に通い続けられるでしょう。
総合事業のサービスだけを使う場合、ケアプランを作る担当は要支援なら地域包括支援センター、要介護なら居宅介護支援事業所のケアマネジャーと分かれます。
ただし、両方の指定を受けているかは事業所ごとに異なります。見学や問い合わせのときに、要支援でも受け入れているかを聞いておきましょう。
小規模デイサービスの1日の過ごし方
小規模デイサービスで1日をどう過ごすのか、イメージがわかないまま送り出すのは不安なものです。朝の送迎から夕方に帰宅するまでの大きな流れはどの事業所も似ており、食事や入浴、機能訓練は介護保険のサービスに含まれます。
ここでは、朝の送迎から帰宅までの流れを順に紹介します。
送迎で自宅から通う
1日は、事業所の車での送り迎えから始まります。自宅から事業所までの送迎はサービスに含まれており、事業所が送迎をしない場合は介護保険の料金が減る決まりです。
送迎の時刻は、事業所によって差があります。一般的な例では、朝8時30分ごろに自宅へ迎えに来て、夕方16時30分ごろに送り届ける流れです。朝は決まった時刻に玄関を出られるよう、前の晩に持ち物をまとめておくと落ち着いて送り出せます。
令和6年度の介護報酬改定では、自宅だけでなく、近隣の親戚宅など生活の実態がある場所への送迎も認められました。送迎の範囲は事業所ごとに決まっています。自宅が範囲の外にあると利用できない場合もあるため、問い合わせのときに住所を伝えて確認しておきましょう。
関連記事:デイサービス(通所介護)とは?サービス内容・費用・種類・選び方をわかりやすく解説
入浴と食事を済ませる
到着後は体温や血圧を測る健康チェックがあり、体調に問題がなければ順番に入浴を済ませます。手すりや専用の浴槽が備えられており、自宅の浴槽が使いにくくなった親御さんも安全に入れます。
昼食も事業所で用意されるため、家庭で準備する必要はありません。食費は介護保険の対象外のため実費で、1食あたり500〜700円程度が目安です。おやつ代を含めて設定している事業所もあります。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムに記載されている例でも、1食500円の事業所と700円の事業所が並んでおり、金額は事業所ごとに違います。
入浴は、自宅での介護のなかでも負担が大きい部分です。ご家族だけで支えるのが難しくなってきたら、入浴の介助を目的に通い始める使い方もあります。
機能訓練とレクリエーションに参加する
午後は、機能訓練やレクリエーションの時間にあてられます。機能訓練は理学療法士や看護師などの機能訓練指導員が担当し、歩行や立ち上がりの練習に取り組みます。自宅での暮らしを続けるために必要な動きを保つのが目的です。
レクリエーションの内容は、体操や手芸、季節の行事などさまざまです。少人数のため、全員が同じ活動に参加するところもあれば、その人のペースにあわせて過ごせるところもあります。
15時ごろにおやつと歓談の時間を挟み、16時30分ごろに送迎で帰宅します。どのような活動をしているかは事業所の個性が出る部分なので、見学のときに実際の様子を見せてもらいましょう。
小規模デイサービスの費用
小規模デイサービスの費用は、介護保険が使えるサービス費と、全額自己負担の実費に分かれます。通った回数で決まるサービス費に、食費などが積み上がる形です。月にいくらかかるのかは、要介護度と通う回数がわかれば見当をつけられます。
ここでは、費用の内訳と負担を抑える制度を見ていきます。
要介護度別の自己負担額
サービス費は、要介護度と利用時間で決まります。大阪市で7時間以上8時間未満のサービスを1割負担で使う場合、1回あたりの目安は次のとおりです。
| 要介護度 | 1回あたりの自己負担 |
|---|---|
| 要介護1 | 808円 |
| 要介護2 | 954円 |
| 要介護3 | 1,107円 |
| 要介護4 | 1,257円 |
| 要介護5 | 1,407円 |
要介護1の親御さんが週2回通うと、1か月8回で6,500円ほどが目安です。ここに食費や日用品の実費が加わります。
なお、上の表は基本の料金だけを計算した金額です。実際の請求には入浴の介助や機能訓練、職員の処遇改善にかかる加算が上乗せされるため、1回あたり100円前後高くなると見ておきましょう。
自己負担の割合は所得によって1〜3割に分かれ、2割・3割の人は上の金額が2倍・3倍になります。割合は、毎年交付される介護保険負担割合証で確認できます。
食費や日用品などの実費
介護保険が使えるのはサービス費の部分だけで、生活にかかる費用は実費です。事業所ごとに金額が違うため、見積もりで内訳を出してもらいましょう。
介護保険の対象外でかかる主な費用は、次のとおりです。
- 昼食代とおやつ代
- おむつ代
- 歯ブラシなどの日用品費
- クラブ活動の材料費
このうち日用品費と材料費は、親御さんが希望した場合に実費の範囲で受け取れる決まりです。「お世話料」「管理協力費」のようなあいまいな名目での徴収は認められません。
事業所は、こうした費用を運営規程に定め、事前に説明して同意を得たうえで受け取ります。
負担を抑える軽減制度
毎月の自己負担が重くなったときは、負担を抑える制度があります。代表的なのが高額介護サービス費で、1か月の自己負担が上限を超えた分は申請すると払い戻されます。
上限は世帯の所得で分かれており、課税所得380万円未満の世帯は月44,400円、住民税非課税世帯は月24,600円です。デイサービスの利用料も、この制度で払い戻しの対象に含まれます。
もう一つが、軽減制度を実施している社会福祉法人などの事業所で使える利用者負担額軽減制度です。世帯全員が住民税非課税で、収入や預貯金の要件を満たす場合、利用者負担が4分の1軽減されます。大阪市では事前の申請が必要なため、対象になりそうな場合は自治体の窓口で確認しましょう。
小規模デイサービスのメリット
小規模デイサービスを選ぶ利点は、少人数であることと、事業所が生活圏の中にあることの2つです。大人数の場所が苦手な親御さんほど、この2点が大きな意味をもちます。逆に、職員の人数が通常規模より手厚いわけではない点は、あらかじめ知っておきましょう。
ここでは、ご家族が実感する2つの利点を紹介します。
顔なじみの関係を作れる
定員が18人以下のため通う人も職員も顔ぶれがほぼ決まり、毎回同じ人と過ごすうちに名前を覚え合う関係が生まれます。
大人数の事業所では、その日に誰と過ごすかが変わり、なじめないまま終わってしまう場合もあります。少人数なら、初日に緊張していた親御さんも、数回通ううちに居場所を見つけられるでしょう。
職員の側も、いつもと違う変化に気づけます。食欲が落ちた、歩き方がふらつくといった小さな変化を早めに伝えてもらえると、ご家族も次の対応を考えられます。ただし、これは職員の人数が多いからではなく、通う人数が少ないためだと理解しておきましょう。
自宅の近くで通い続けられる
地域密着型サービスは、原則として住民票のある自治体の事業所しか使えません。裏を返せば、候補に挙がるのは生活圏の中にある事業所だけです。
自宅から近ければ、送迎の車に乗る時間も短くなります。長時間の移動は親御さんの負担になるため、近さそのものが通い続けられる条件になります。
顔なじみの地域で過ごせる点も、少人数の事業所ならではの良さです。近所の人が同じ事業所に通っていた、昔よく歩いた道を送迎で通るといった場面が、外に出る気持ちを支えてくれます。
小規模デイサービスのデメリット
小規模デイサービスは、メリットがある一方で小規模だからこその不便もあります。事業所を選べる範囲が狭くなる点と、相性が合わなかったときの逃げ場が少ない点の2つです。どちらも、通い始めてから気づくと親御さんの負担になります。
ここでは、申し込む前に知っておきたい2つの注意点を解説します。
ほかの自治体の事業所を選べない
住民票のある自治体の事業所しか使えないため、選べる候補は限られます。隣の市に評判の良い事業所があっても、原則として申し込めません。
この制限が特に響くのは、市境の近くに住んでいる場合です。車で10分の事業所が使えず、同じ市内の遠い事業所を選ぶ場面も出てきます。
大阪市では、日常生活圏と認められる場合など6つの例外を設けており、ほかの自治体の同意が得られれば利用できます。ただし、利用届の提出から事業者の指定手続きまで段階を踏むため、利用開始まではまとまった時間が必要です。急いで通い始めたいときは、住民票のある自治体の中から探すほうが早く決まるでしょう。
相性が合わないと居場所が狭くなる
少人数であることは心地よさにつながる一方、合わない人がいたときには逃げ場の少なさに変わります。大人数の事業所ならほかのグループへ移れますが、定員10人前後の事業所では席を変える程度しか手がありません。
親御さんが人見知りであれば、輪に入れないまま気疲れだけが残る日もあります。見学の短い時間では、そこまで把握しきれない部分です。
合わないまま通い続けると、外出そのものを嫌がるようになる場合もあります。曜日を変える、事業所を移すといった立て直しの手順は、記事の後半で取り上げます。
相性を見極める手段が、契約前の体験利用です。受け入れている事業所なら半日ほど過ごしてみると、その場の空気が親御さんに合うかを確かめられます。
小規模デイサービスの見学で確かめる点
小規模デイサービスは事業所ごとの個性が大きく、パンフレットだけでは雰囲気がわかりません。ケアマネジャーに相談すると、候補の事業所の見学を勧められる場合もあります。
ここでは、小規模ならではの3つの確認点を紹介します。
利用者の顔ぶれと雰囲気
まず見たいのは、その日に通っている人たちの様子です。少人数のため、親御さんと年齢や状態が近い人がいるかどうかで、過ごしやすさが変わります。
男女の比率や、車いすの人が多いかどうかも見ておきましょう。話し相手ができそうか、逆に賑やかすぎないかは、実際にその場に立たないとわかりません。
曜日によって通う人が変わる点にも注意が必要です。見学の日と実際に通う予定の曜日が違うなら、その曜日の様子も聞いておきましょう。可能であれば、通う予定の曜日に体験利用をさせてもらうと確実です。
見学は1か所で決めず、2〜3か所を回ると比較できます。同じ小規模でも、静かに過ごす事業所と体を動かす事業所では雰囲気が変わってくるでしょう。
関連記事:デイサービスの選び方|本人に合う施設を見つける7つのチェックポイントと探し方のコツ
職員の人数と声かけ
その日に何人の職員がいるかも数えてみましょう。地域密着型でも職員の配置基準は通常規模の事業所と同じため、小規模だから手厚いとは限りません。実際に何人で見ているかは、事業所ごとに違います。
見たいのは人数よりも、声のかけ方です。名前で呼んでいるか、目の高さまでかがんでいるか、返事を待っているかは、短い見学でも伝わります。
地域密着型の事業所は、利用者やご家族、地域の人が参加する運営推進会議をおおむね6か月に1回以上開く決まりです。会議の記録を見せてもらえるか聞いてみると、運営の姿勢がわかります。職員の入れ替わりが多くないかも、あわせて確かめたい点です。
送迎ルートと所要時間
送迎は毎回あるため、負担の大きさを左右します。送迎について確かめておきたいのは、次の点です。
- 自宅が送迎の範囲に入るか
- 乗車の順番とおおよその所要時間
- 玄関先まで職員が迎えに来るか
- 急に休むときの連絡方法
送迎は片道30分程度が一般的ですが、乗車の順番が早いと、遠回りをして事業所に着くまで時間がかかる場合もあります。腰痛や乗り物酔いのある親御さんにとって、乗車時間の長さは負担になるでしょう。
乗り降りに介助が必要でも、玄関から車までは職員が付き添います。部屋から玄関までの介助まで頼めるかは事業所によって違うため、必要であれば事前に相談しておきましょう。
仕事に出るご家族の場合は、鍵の受け渡しや出発時刻の調整も相談しておくと、当日慌てずにすみます。
小規模デイサービスの利用の流れ

実際に通い始めるまでには、相談から契約までいくつかの段階があります。手続きの多くはケアマネジャーが進めるため、ご家族が動くのは相談と見学が中心です。合わなかったときにやり直せる点も、先に知っておくと気が楽になります。
ここでは、相談から利用開始までの流れを見ていきます。
ケアマネジャーに相談する
通い始めるまでにまず必要なのが、担当のケアマネジャーへの相談です。ケアマネジャーは親御さんの状態や希望を踏まえてケアプランを作り、事業所との連絡調整を担います。
要支援や事業対象者の相談先は、地域包括支援センターです。ただし、令和6年4月からは自治体の指定を受けた居宅介護支援事業所が要支援の方のケアプランを作る場合もあります。まだ担当がいない場合も、地域包括支援センターに相談すれば居宅介護支援事業所を紹介してもらえます。
伝えるとよいのは、通いたい曜日と回数、送迎の希望、親御さんが苦手な場面です。少人数の場所を希望していると伝えれば、地域密着型の事業所を候補に挙げてもらえます。
相談は電話でもできますが、月1回の訪問のときにまとめて伝えると話が早く進むでしょう。
関連記事:ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割や仕事内容から上手な探し方・選び方のポイントまで解説
見学と体験利用を申し込む
候補が絞れたら、見学と体験利用を申し込みます。申し込みはケアマネジャーが代わりに連絡してくれる場合が多く、日程の調整も任せられます。
体験利用は、半日から1日ほど実際に過ごしてみる形です。無料で受け入れる事業所もあれば、食費だけ実費でかかる事業所もあります。
体験の日は、送り出しから帰宅まで親御さんの様子を見守りましょう。帰宅後に疲れが強く出ていないかも、判断の材料になります。
契約の場では、重要事項説明書と契約書を確認します。キャンセル料や送迎の範囲、実費の金額は、あとでもめないよう契約前に読んでおきましょう。契約が済むと、ケアプランに沿って利用が始まります。
合わないときは事業所を変える
通い始めてから合わないとわかっても、そのまま我慢する必要はありません。まずは曜日や時間帯を変えられないか、ケアマネジャーに相談しましょう。
同じ事業所でも、通う曜日が変われば顔ぶれは変わります。それでも難しいときの選択肢が、別の事業所への変更です。ケアプランを見直せば事業所を移せますし、それまでの様子や体調の記録も、ケアマネジャーを通じて新しい事業所へ伝えてもらえます。
変更を申し出るのは気が引けるご家族もいるでしょう。ただ、行きたがらない状態が続くと、外に出る習慣そのものが途切れてしまいます。親御さんが楽しみに通えるかを基準に、早めに動きましょう。
小規模デイサービスでよくある質問
小規模デイサービスの利用では、制度の説明だけでは解決しない細かな疑問も出てきます。事業所ごとに対応が違う部分は、契約前に確かめておくと安心です。
ここでは、ご家族からよく寄せられる3つの質問にお答えします。
認知症の親でも受け入れてもらえる?
小規模デイサービスでも、認知症のある親御さんは受け入れてもらえます。介護報酬にも認知症加算があり、認知症の人が通う前提の制度です。
ただし、事業所によって対応の経験には差があります。認知症の人がどのくらい通っているか、専門の研修を受けた職員がいるかは、見学のときに質問しておくと安心です。
症状が進んで手厚い見守りが必要な場合は、認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)も選べます。こちらは定員12人以下で、認知症のある人だけが通うサービスです。どちらが合うかは、見学で職員の接し方を見たうえで、ケアマネジャーと相談して決めましょう。
関連記事:認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)とは?料金や選び方、一般デイとの違いを解説
週に何回まで通える?
小規模デイサービスに回数の上限はありません。ただし、介護保険で使えるサービスの総量には要介護度ごとの上限(区分支給限度額)があり、その範囲で回数が決まります。
大阪市の場合、要介護1の区分支給限度単位数は1か月16,765単位です。7時間以上8時間未満のサービスは1回753単位のため、デイサービスだけに使えば計算上は月20回を超えます。実際には訪問介護や福祉用具のレンタルも同じ枠を使うため、週2回前後に落ち着く方が多くなります。
上限を超えた分は全額自己負担です。何回通えるかはケアプランを作るときに調整するため、希望の回数をケアマネジャーに伝えましょう。
関連記事:要介護1で使えるデイサービス利用回数の上限は?平均回数と利用限度額も解説
休んだ日も料金はかかる?
要介護1〜5の人が使う小規模デイサービスは、通った回数で料金が決まります。休んだ日の介護保険の利用料はかかりません。
ただし、事業所が当日キャンセル料を設けている場合もあり、金額は事業所ごとに異なります。厚生労働省の介護サービス情報公表システムに記載されている例では、当日キャンセルで500円を受け取る事業所と700円を受け取る事業所が並んでいました。
要支援の人が使う総合事業の通所型サービスは、大阪市の介護予防型通所サービスのように月ごとの定額で決まっている場合が多く、1回でも利用した月は月額の負担が必要になります。総合事業の料金は自治体が決めるため、お住まいの自治体の窓口に問い合わせましょう。
キャンセルの決まりは重要事項説明書に書かれているので、契約前に目を通しておくと安心です。
まとめ
小規模デイサービスは、定員18人以下の地域密着型通所介護です。対象は要介護1〜5で、原則として事業所と同じ自治体に住民票がある人に限られます。要支援の親御さんは、自治体が運営する総合事業の通所型サービスが受け皿になります。
費用は要介護1で7時間以上8時間未満なら、大阪市で1回808円が目安です。週2回通えば1か月8回で6,500円ほどになり、ここに食費などの実費が加わります。
少人数で顔なじみの関係を作れる一方、合わない人がいたときの逃げ場が少ない点は、あらかじめ知っておきましょう。まずはケアマネジャーに希望を伝え、候補の事業所を見学するところから始めてみましょう。
親御さんに合う施設探しで迷ったときは『笑がおで介護紹介センター』へご相談ください。
参考サイト
- 地域密着型通所介護|京都市
- 地域密着型通所介護・第1号通所事業の指定に係る確認事項|大阪市
- 令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省
- 令和8年度介護報酬改定の概要|厚生労働省
- 介護を社会全体でささえます(令和8年4月版)|大阪市
- 通所介護等における日常生活に要する費用の取扱いについて|厚生労働省
- 10.地域密着型通所介護(介護サービス情報公表システム)|厚生労働省
- 本市被保険者の他市町村の地域密着型サービスの利用について|大阪市
- 介護予防・日常生活支援総合事業|大阪市
- 社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度|大阪市
- 居宅介護支援事業者が行う介護予防支援事業の指定について|大阪市
- 運営推進会議及び介護・医療連携推進会議について|京都市
- 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護(第180回社会保障審議会介護給付費分科会資料1)|厚生労働省
- 小規模多機能型居宅介護|健康長寿ネット
- 認知症対応型通所介護|健康長寿ネット

このコラムの監修者
花尾 奏一(はなお そういち)
保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
有料老人ホームにて介護主任を10年
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施
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