介護ベッドは補助金で買える?レンタルとの自己負担額の違いを解説

  カテゴリー:お役立ちコラム
介護ベッドは補助金で買える?レンタルとの自己負担額の違いを解説

親御さんに介護ベッドが必要になり、カタログの金額を見て「補助金は使えないのだろうか」と調べていませんか?8万円ほどから数十万円までと幅があり、ご家庭にとって大きな出費です。

介護ベッドは、購入に使える公的な補助金が確認できない一方で、介護保険のレンタルなら1〜3割の負担で借りられます。この記事では、補助金に代わる制度と月額の目安を整理し、要介護度ごとの条件から申請の手順、介護保険を使えない場合の選択肢までを解説します。

この記事を読めば、ご家庭で使える制度とケアマネジャーへ何を伝えればよいかがはっきりし、必要な日までに準備が整うでしょう。

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。

介護ベッドは補助金で買える?

介護ベッドのカタログを見ると、8万円ほどから数十万円までの金額が並びます。まとまった出費になるため、購入費を補助してくれる制度はないかと探す方は多いものです。結論からいうと、介護ベッドを買うための公的な補助金は確認できず、レンタルが中心になります。

ここでは、購入とレンタルで公的な支援の扱いがどう違うのかを見ていきます。

購入に使える公的な補助金はない

介護ベッドを買うために使える補助金は、公的な制度にはありません。介護保険には福祉用具の購入費を支給する特定福祉用具販売がありますが、介護ベッド(特殊寝台)は対象外です。

対象は9種目に限られており、腰掛便座や入浴補助用具のような直接肌に触れて再利用しにくいものが中心です。2024年4月の改正でスロープや歩行器などが加わりましたが、介護ベッドは追加されていません。

介護ベッドに用意されている公的な支援は、介護保険のレンタルと障がい者向けの給付の2つです。購入費そのものを助成する制度は用意されていない点を覚えておきましょう。

レンタルなら介護保険が使える

介護ベッドをレンタルする場合は、介護保険が使えます。介護ベッドは福祉用具貸与(レンタル)の対象種目に含まれており、原則として要介護2以上の認定を受けていれば、費用の1〜3割の負担で借りられます。

2024年4月からは、一部の福祉用具で借りるか買うかを選べる選択制が始まりました。ただし、対象は固定用スロープ・歩行器・単点杖・多点杖の4種目だけで、介護ベッドは含まれていません。

買い替えの必要がなく、体の状態が変われば別の機種に交換できる点も、レンタルならではの利点です。2026年8月時点で、介護ベッドが選択制に加わる予定はありません。ただし、令和9年度の介護報酬改定に向けた検討は始まっているため、借りる前に最新の扱いをケアマネジャーへ確かめておきましょう。

介護ベッドの補助金に代わる制度

介護ベッドを買うための補助金はありませんが、費用の負担を軽くする公的な制度はいくつかあります。使える制度を分けるのは、要介護認定の有無や障がい者手帳の有無、そして世帯の所得です。

ここでは、介護ベッドの費用に関わる3つの制度を順に紹介します。

介護保険の福祉用具貸与

介護ベッドの費用を抑える中心になるのが、介護保険のレンタルです。要介護認定を受けた方が対象で、ケアプランに位置づけたうえで事業者から借ります。

介護保険でレンタルできる福祉用具は13品目あり、主なものは次のとおりです。

  • 特殊寝台(介護ベッド)
  • 特殊寝台付属品
  • 車いすと車いす付属品
  • 床ずれ防止用具や体位変換器
  • 手すりやスロープ

特殊寝台(介護ベッド)とは、サイドレールを取り付けられ、背上げ・脚上げの角度調整か高さ調整機能のいずれかを備えた寝台と定められています。ベッド本体だけでなく、マットレスやサイドレールなどの付属品もあわせて借りられます。

障がい者向けの日常生活用具給付

障がい者手帳をおもちの場合は、自治体の日常生活用具給付で特殊寝台の給付を受けられる場合があります。障がい者総合支援法に基づく自治体の事業で、介護・訓練支援用具の区分に特殊寝台が含まれています。

対象になる方の範囲や自己負担の額を決めるのは、それぞれの自治体です。おおむね身体障がい者手帳や療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳を保有している方が対象になります。

自己負担の決め方には差があり、たとえば大阪府の堺市では原則1割で、世帯の状況に応じた月額の上限が設けられています。対象となる障がいの種類や状態像の要件も、品目ごとに別々です。

ただし、介護保険で同じ用具を借りられる場合は、介護保険の利用が優先です。制度の内容は自治体によって異なるため、お住まいの障がい福祉の窓口へ問い合わせましょう。

高額介護サービス費の払い戻し

介護ベッドのレンタル料を含めて、1か月に支払った介護保険の自己負担が上限を超えたときは、超えた分が払い戻されます。これが高額介護サービス費で、申請すると超過分が介護保険から支給される制度です。

上限額は所得に応じた区分ごとに決まっており、生活保護を受けている方などの月15,000円から、課税所得の高い世帯の月140,100円までの幅があります。住民税非課税世帯は月24,600円、一般的な住民税課税世帯は月44,400円が上限の目安です。

注意したいのは、対象が介護サービスの自己負担分に限られる点です。福祉用具の購入費や食費、居住費は対象外ですが、介護ベッドのレンタル料の自己負担は対象に含まれます。ほかの介護サービスとあわせて上限を超えた月は、自治体の窓口で申請しましょう。

介護ベッドを借りられる人の条件

介護保険で介護ベッドを借りられるかどうかは、要介護度によって決まります。原則として対象になるのは要介護2以上で、それより軽い認定の場合は別の手続きが必要です。

ここでは、要介護度ごとに介護ベッドを借りられる条件を見ていきます。

要介護2以上と認定された場合

要介護2から要介護5の認定を受けている方は、原則として介護ベッドのレンタルが可能です。日常生活の多くの場面で介助が必要な状態と判断されるため、ベッドの必要性が認められやすくなります。

要介護2は、起き上がりが自力では難しくなる状態です。排せつや入浴などの場面で、一部または全部の介助が必要になります。起き上がりや立ち上がりに手助けがいる段階では、背上げや高さ調整のできるベッドが助けになるでしょう。

レンタルを始めるには、ケアマネジャーが作成するケアプランに福祉用具貸与を位置づける必要があります。認定を受けていても、ケアプランに載っていなければ介護保険は使えないため、担当のケアマネジャーへ相談しましょう。

要支援1・2や要介護1の場合

要支援1・要支援2と要介護1の方は、原則として介護ベッドのレンタル対象から外れます。軽度者と呼ばれるこの区分では、車いすや床ずれ防止用具などとあわせて、特殊寝台は原則対象外の扱いです。

しかし、要介護1でも起き上がりが難しくなっている親御さんは少なくないため、認定結果だけで諦める必要はありません。国が示す状態像に当てはまる場合は、例外給付として介護保険を利用できます。

例外給付を使うには自治体への申し出が必要なので、認められるまでには一定の時間がかかる点に注意しましょう。

例外給付が認められる場合

介護ベッドの例外給付が認められるのは、日常的に起きあがりが困難な方、または日常的に寝返りが困難な方です。要介護認定の調査票で、起き上がりや寝返りが「できない」と判定されているかが最初の判断材料です。

調査票で確認できない場合も、次の3つのいずれかに当てはまれば例外給付が認められる可能性があります。

  • 病気などで状態が変わりやすい方
  • 短期間で悪化が確実に見込まれる方
  • 医学的に危険の回避が必要な方

たとえば、パーキンソン病で日により動きが変わる方や、がん末期の方です。いずれも医師の医学的所見とサービス担当者会議での検討を経て、自治体が要否を判断します。申し出の際は、医師の所見を示す書類が必要です。

手続きの様式や提出先は自治体ごとに異なるため、ケアマネジャーに例外給付を使いたい旨を伝えましょう。

介護ベッドの自己負担額の目安

介護保険を使ってレンタルする場合、毎月支払うのは費用の1〜3割です。ベッド本体と付属品の組み合わせや機種によって金額は変わりますが、購入するより毎月の負担はかなり軽くなります。

ここでは、月額の目安と負担割合の決まり方、購入した場合との違いを見ていきます。

本体と付属品の月額レンタル料

介護ベッドのレンタル料は、自己負担1割で月600〜1,500円ほどが目安です。脚上げや自動寝返りなど機能の多い機種では月3,000円程度になり、マットレスやサイドレールなどの付属品も別に加算されます。

金額の幅を生むのは、事業者と機種によるレンタル料の違いです。背上げと高さ調整だけの機種は安く、脚上げやリモコン操作などの機能が増えるほど月額は上がります。

気をつけたいのは、レンタル料が介護保険の支給限度額の枠を使う点です。1か月に使えるサービスの上限は要介護度ごとに決まり、要介護2なら197,050円、要介護3なら270,480円です。デイサービスや訪問介護とあわせて限度額を超えると、超えた分は全額自己負担になります。

1〜3割の負担割合の決まり方

負担割合は、ご本人と世帯の所得によって1割・2割・3割に分かれます。年齢や要介護度ではなく所得で決まるため、同じ介護ベッドを借りても支払う金額は家庭ごとに変わります。

1割になるのは、合計所得金額が160万円未満の場合です。40〜64歳の第2号被保険者や市町村民税が非課税の方、生活保護を受けている方も、所得にかかわらず1割となります。

2割になるのは、合計所得金額が160万円以上220万円未満で、年金収入とその他の合計所得金額が単身で280万円以上ある場合です。3割はさらに条件が重く、合計所得金額220万円以上かつ単身で340万円以上が目安になります。2人以上の世帯では、それぞれ346万円以上、463万円以上が基準です。

ご自身の割合は、毎年7月中旬から下旬ごろに自治体から届く介護保険負担割合証で確認できます。有効期間は8月1日から翌年7月31日までで、前年の所得によって毎年見直されます。

関連記事:介護保険の「自己負担額」は年収で変わる|1割・2割・3割の負担割合の仕組みと判定基準

購入した場合の全額負担

介護ベッドを購入する場合は、介護保険が使えないため全額が自己負担になります。機能の少ない機種で8万円ほど、モーターの数が多い機種は数十万円が目安です。

購入すると毎月の支払いはなくなりますが、その後の負担はご家族に残ります。マットレスの交換や故障時の修理、使わなくなったあとの処分まで、すべて自費で対応する必要があります。

考えておきたいのは、体の状態が変わったときの対応です。寝返りが難しくなって手すりを増やしたい、体格にあわせて幅を変えたいといった場面で、購入したベッドでは対応しきれず買い替えになる場合もあります。レンタルなら機種の交換で対応できる部分だけに、購入は数年先まで見通したうえで判断しましょう。

レンタルと購入の分かれ目

介護保険が使えるなら、レンタルのほうが負担は軽く済みます。1割負担で月1,000円のベッドを5年間借りたとしても総額は6万円ほどで、購入価格を下回る計算です。

購入を考える余地があるのは、介護保険が使えない場合です。要支援1・2や要介護1で例外給付も認められないときは、レンタル料が全額自己負担になり、月額の負担が重くなります。

もう一つは、親御さんの状態が安定していて長く使うとわかっている場合です。7年、8年と同じベッドを使い続けるなら、レンタル料の総額が購入価格を上回る可能性もあります。どちらが適しているかは、要介護度と使う期間の見通しをケアマネジャーに伝えて一緒に考えましょう。

関連記事:介護用品はレンタルと購入どっちがお得?介護保険の対象品目や料金、利用方法を解説

介護ベッドをレンタルする手順

介護保険で介護ベッドを借りるには、要介護認定を受けてケアプランに位置づけるまでの手続きが必要です。ベッドの事業者へ直接申し込めば届くわけではない点に注意しましょう。

ここでは、レンタルを始めるまでの手順を3つの段階に分けて紹介します。

要介護認定を申請する

まだ要介護認定を受けていない場合は、住所地の役所にある介護保険の担当窓口へ、申請書と介護保険被保険者証を提出するところから始まります。担当課の名称は自治体によって違うため、わからなければ役所の総合窓口で確認しましょう。

申請書には主治医を記入する欄があり、自治体がその医師に意見書を依頼する流れです。かかりつけの医療機関がない場合は、窓口でどうすればよいかを相談できます。

申請はご本人やご家族に限らず、ケアマネジャーなどの代理人でもかまいません。親御さんが入院中で動けないときや、ご家族が遠方に住んでいるときは、代理申請を頼むと手続きが進みます。申請そのものに費用はかからないため、迷っている段階でも早めに出しておくと安心です。

関連記事:介護保険申請の流れと適切なタイミングを徹底解説

ケアマネジャーにケアプランを依頼する

認定を受けたら、次はケアプランの作成です。要介護1から要介護5の方が在宅でサービスを使う場合は、居宅介護支援事業者のケアマネジャーにケアプランの作成を依頼します。

依頼する事業者が決まったら、自治体の窓口に届出書を提出します。ケアプランの作成費用は全額が介護保険から給付されるため、利用者の自己負担はありません。

事業者をどう選べばよいかわからないときは、地域包括支援センターに相談すると中立的な立場で地域の事業所を紹介してもらえます。ここで介護ベッドを使いたい意向を伝え、起き上がりや立ち上がりで困っている様子を共有すると、ケアプランに福祉用具貸与を組み込んでもらえます。

関連記事:ケアプランとは?作成の流れや費用、良いプランにするためのポイントを解説

福祉用具専門相談員と機種を選ぶ

ケアプランに福祉用具貸与が入ったら、福祉用具貸与事業者を決めて機種を選びます。事業者にいる福祉用具専門相談員が、用具選びの援助から取り付け、調整までを担う役割です。

相談員は自宅へ訪問し、寝室の広さや搬入経路、親御さんの体格や動きを確認したうえで機種を提案します。カタログだけで決めず、実際の生活動線を見てもらうと、使いにくさを避けられます。

機種が決まったあとは事業者との契約、搬入と設置を経て利用開始です。使い始めてから合わないと感じた場合も、相談員に伝えれば別の機種へ交換できます。搬入の日程は事業者の在庫にも左右されるため、退院日が決まっているなら早めに伝えておきましょう。

介護ベッドが届くまでの期間

退院に間に合うよう用意したい場合に気になるのが、申し込んでから実際に使えるようになるまでの期間です。特に要介護認定から始める場合は、想像より時間がかかります。

ここでは、期間の目安と、急ぐときに使える方法を見ていきます。

要介護認定にかかる原則30日

要介護認定は、介護保険法で申請から原則30日以内に結果を通知すると定められています。自治体の案内でも30日以内の決定を目指すと説明されており、まずはこの30日が一つの目安です。

ただし、実際には30日を超える場合もあります。厚生労働省の資料によると、令和4年度下半期の実績は認定調査に平均約11.1日、主治医意見書がそろうまでに平均約17.8日で、意見書の待ち時間が全体を長引かせる主な要因になっています。入院中で調査の日程を組みにくいとき、年末年始をはさむときも遅れがちです。

30日以内に決まらない見込みのときは、延期の通知が届きます。認定が出てからケアプランの作成と機種の選定が続くため、申請から使い始めまでは1か月以上かかると考えておきましょう。

認定を待たずに使える暫定ケアプラン

認定の結果を待つ余裕がない場合は、暫定ケアプランを使う方法があります。見込まれる要介護度をもとにケアプランを先に作り、認定が出る前から介護サービスを使い始める仕組みです。

認定が出るまでの間にサービスが必要になったときの対応として、自治体も暫定ケアプランを案内しています。退院日が決まっていて待てないときは、この方法をケアマネジャーに相談しましょう。

ただし、認定の結果次第で費用の扱いは変わります。申請が却下されたり非該当と判定されたりした場合や、支給限度額を超えた分は全額自己負担になるため、見込みより軽い認定が出る可能性も想定しておきましょう。

退院日から逆算する段取り

入院中の親御さんにあわせて用意するなら、退院が決まった時点で動き始めるのが安全です。介護ベッドのレンタルなど在宅向けの介護保険サービスは入院中に使えませんが、要介護認定の申請や認定調査は病室にいるうちから進められます。退院してから申請を始めると、認定を待つ間にベッドのない期間が生まれてしまいます。

目安として、退院の1〜2か月前には要介護認定の申請を済ませておきましょう。認定に30日前後かかり、そのあとケアプランの作成と機種の選定が続くと考えると、退院直前の申請では間に合わない可能性が高くなります。

退院の見通しがはっきりしない段階でも、相談だけなら早めに始めてかまいません。病院の相談窓口やケアマネジャーに退院予定を伝えておくと、認定の申請とベッドの手配を並行して進められます。

介護ベッドを相談するときの伝え方

介護ベッドのレンタルに向けた相談は、誰に何を伝えるかがはっきりしていると早く進みます。「介護ベッドを借りたい」と切り出すより、どの場面で困っているかを伝えるほうが必要性は伝わりやすいでしょう。

ここでは、状況別に相談先と伝え方を紹介します。

ケアマネジャーに起き上がりの困難を伝える

すでにケアマネジャーがついている場合は、朝や夜に困っている場面をそのまま伝えましょう。用具の名前から入るより、動作の困りごとから伝えるほうが、必要な福祉用具を判断してもらいやすくなります。

たとえば「朝起きるときに一人で起き上がれず、腕を引っ張って起こしている」「寝返りが打てず、夜中に何度も体の向きを変えている」といった伝え方をします。起き上がりと寝返りは例外給付の判断材料にもなるため、要介護1以下の親御さんほど動作の様子を細かく伝えておくとよいでしょう。

あわせて、どの場面を優先して解決したいかも共有しておきましょう。「夜中の介助をいちばん減らしたい」と優先順位を示すと、ケアプランに反映されやすくなります。

関連記事:ケアプランに要望を伝えるコツは?本人・家族の希望を反映させる作成の流れとポイント

認定がないときは地域包括支援センターに相談する

まだ要介護認定を受けていない場合は、地域包括支援センターが最初の窓口です。介護・福祉・保健に関する高齢者の総合相談窓口で、主任ケアマネジャーや社会福祉士などの専門職が配置されています。

相談は無料で、対象は地域に住む高齢者とその方を支えるご家族です。要介護認定を受けているかどうかは関係なく、認定の申請そのものについても支援を受けられます。

相談の窓口は、電話や来所だけではありません。必要に応じて職員が自宅を訪問し、状況を確認してくれる場合もあります。

親御さんの家から離れて暮らしているご家族でも、実家のある地域の地域包括支援センターへ連絡すれば相談できます。連絡先は、自治体の窓口やホームページで確認しましょう。

関連記事:地域包括支援センターとは?役割や相談できる内容、利用方法をわかりやすく解説

入院中は医療ソーシャルワーカーを頼る

親御さんが入院中なら、心強い相談相手は病院にいる医療ソーシャルワーカーです。入退院支援や療養支援を担う専門職で、国の業務指針では社会福祉士による対応が想定されています。

医療ソーシャルワーカーは、退院後の暮らしで起きそうな課題を先に見立てて、早めに手を打つ役割を担っています。自宅にベッドがない、階段の上り下りが難しくなったといった環境の問題も、遠慮なく相談してかまいません。

退院の見通しが立った時点で「自宅に介護ベッドがないので用意したい」と伝えておくと、認定の申請やケアマネジャーとの連携を通じて手続きを進めてもらえます。相談先が院内のどこにあるかは、看護師や受付で聞けば案内してもらえます。

介護ベッドを借りられない場合の選択肢

例外給付が認められず介護保険を使えない場合でも、打つ手が尽きるわけではありません。認定を見直す方法と、保険を使わずに用意する方法があります。

ここでは、介護保険で借りられないときの選択肢を3つ紹介します。

要介護度の区分変更申請

認定を受けたあとに親御さんの状態が変わったなら、区分変更申請の手続きがあります。認定の有効期間中でも、心身の状態が変化して介護の必要度が変わったときに、要介護度の見直しを申請できます。

区分変更が向いているのは、入院や怪我で介護の手間が大きく増えた場合や、認知症の症状が進んだ場合です。変更申請で認定を受け直した場合、有効期間は原則6か月で、その開始日は申請書類を提出した日になります。

注意したいのは、認定結果そのものに納得できない場合との違いです。結果への不服を申し立てるなら、区分変更ではなく審査請求の手続きです。どちらに当たるかをケアマネジャーに相談してから動きましょう。

関連記事:要介護認定の更新手続き完全ガイド|期間・流れと区分変更申請との違いを徹底解説

自費レンタル

介護保険を使わずに、事業者から直接借りる方法もあります。要介護認定で自立と判定された方、認定をまだ受けていない方、支給限度額を超えてしまった方が主な対象です。

自費の場合の月額は6,000〜13,000円ほどが目安で、1割負担で借りたときと比べると10倍近くになります。機種や付属品によっては、2万円近くになる例もあります。ただし、購入すれば数十万円かかる機種でも、月単位で借りられるぶん、当面をしのぐ手段としては現実的でしょう。

申し込みは、ケアマネジャーに相談するか、レンタル事業者へ直接連絡する形になります。認定の結果を待つ間だけ自費で借り、認定が出てから介護保険へ切り替える使い方もできます。

中古品の購入

費用を抑える方法として、中古の介護ベッドを購入する選択肢もあります。同じ機種でも新品より数万円から10万円ほど安く手に入る場合があり、専門のリサイクルショップで扱われています。

ただし、中古品では安全面の確認が必要です。規格が改正される前のベッドでは重大な事故が続いており、業界団体の集計では事故の約7割がサイドレール周りのすき間で起きています。

購入前に確認したい点は、次のとおりです。

  • 2009年3月の規格改定後の製品か
  • サイドレール周りにすき間がないか
  • 本体と柵が同一メーカー製か
  • 製造年と修理部品の入手可否
  • 取扱説明書が付いているか

見極めが難しいときは、専門の相談員がいる店で購入しましょう。搬入や組み立てが別料金の場合も多いため、総額で比較して判断すると失敗を避けられます。

介護ベッド導入前の注意点

機種が決まっても、置く場所と運び入れる経路がなければ設置できません。制度の面でも、障がい福祉のサービスとの関係で知っておきたい原則があります。

ここでは、契約する前に確認しておきたい2つの点を解説します。

設置スペースと搬入経路

介護ベッドを置く部屋は、6畳程度あると介助の動作に余裕が出ます。介助する側が立つスペースとして、ベッドの片側は60cm以上、車いすで介助するなら90cm以上あけておくとよいでしょう。家具が少なければ、これより狭い部屋でも設置できる場合があります。

ベッドのサイズを決める基準は、親御さんの身長です。身長150cm未満ならショート、150cm以上ならレギュラー、175cm以上ならロングが目安で、背上げをしたときに動く分のゆとりも計算に入れて配置します。

見落とされやすいのが搬入経路です。廊下の幅や扉の開き方に加えて、階段やエレベーターの寸法、コンセントの位置まで見ておくと、当日になって搬入できない事態を防げます。福祉用具専門相談員が訪問したときに、一緒に見てもらいましょう。

関連記事:【在宅介護の始め方】安全で快適な介護部屋の作り方|レイアウトの基本とリフォームのポイント

介護保険が優先される仕組み

障がい者手帳をおもちの親御さんの場合、障がい福祉サービスと介護保険のどちらを使うかで迷う場面が出てきます。介護保険に相当するサービスがあるときは、介護保険の利用が原則です。

これは社会保障制度の保険優先の考え方によるもので、障がい福祉の日常生活用具にあたる品目でも、介護保険の対象になるものは介護保険から貸与や購入費が支給されます。65歳以上で障がい者手帳をおもちの方も、基本は介護保険の福祉用具貸与が先です。

ただし、一律に介護保険が優先されるわけではありません。必要な支援を介護保険で受けられるかどうかは個別に判断されるため、両方の制度に関わる場合は自治体の窓口へ問い合わせましょう。

関連記事:介護保険と障害者手帳の併用はできる?65歳からの優先順位とサービスの違いを徹底解説

介護ベッドの補助金でよくある質問

介護ベッドの費用は、制度の細かい部分になると判断に迷う場面が出てきます。最終的な確認先は自治体やケアマネジャーですが、つまずきやすい点は先に知っておくと安心です。

ここでは、ご家族から寄せられることの多い2つの質問にお答えします。

レンタル料は医療費控除の対象になる?

介護ベッドのレンタル料は、医療費控除の対象になりません。福祉用具貸与と介護予防福祉用具貸与は、国税庁が対象外のサービスに挙げています。

医療費控除の対象になるのは、訪問看護や訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護といった医療系のサービスの自己負担分です。訪問介護(生活援助が中心のものを除く)やデイサービスは、医療系サービスと組み合わせて使う場合に対象となります。

介護にかかった費用をまとめて申告しようと考えている場合は、対象になるサービスとならないサービスを分けて集計しましょう。

関連記事:在宅介護の費用負担を軽減する4つの制度|医療費控除の計算方法や確定申告を解説

医療保険でも介護ベッドは借りられる?

医療保険(健康保険)では、介護ベッドを借りられません。健康保険が現物で給付する「療養の給付」は、診察や薬剤の支給、処置や手術、入院など5つと決まっています。福祉用具の貸与は、医療保険の範囲外です。

介護保険で同じ給付を受けられる場合は健康保険から給付しない規定もあり、福祉用具は介護保険が担当します。訪問看護のように両方の保険に制度がある場合とは扱いが異なります。

介護ベッドを保険で借りたい場合は、医療保険ではなく介護保険の要介護認定から進めましょう。

まとめ

介護ベッドを買うための公的な補助金はありませんが、介護保険のレンタルなら1〜3割の負担で利用できます。原則の対象は要介護2以上で、要支援1・2や要介護1でも起き上がりや寝返りが難しければ、例外給付で借りられる可能性があります。

まずは、朝の起き上がりや夜の寝返りで困っている場面を、そのままケアマネジャーに伝えましょう。認定をまだ受けていないなら地域包括支援センター、入院中なら病院の医療ソーシャルワーカーが相談の入り口になります。

退院にあわせて用意するなら、1〜2か月前の申請が目安です。在宅で続けるか施設を探すかで迷うときは『笑がおで介護紹介センター』へご相談ください。

参考サイト

このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

無料で簡単診断

老人ホーム・介護施設を探す

都道府県をクリックすることで選択したエリアの市区町村や駅・路線などから老人ホームを探すことができます。

スタッフ満足初めての老人ホームの選び方