認知症と間違えやすい病気とは?せん妄やうつ病との違い・見分け方を解説

  カテゴリー:
認知症と間違えやすい病気とは?せん妄やうつ病との違い・見分け方を解説
24時間受付中!
施設探しのプロに無料で相談する
0120-177-250 無料相談

「最近、親の物忘れが激しくなってきた気がする……これって認知症の始まり?」

ご家族の言動に違和感を覚えたとき、多くの人がまず「認知症」を疑い、不安を感じるのではないでしょうか。しかし、物忘れや判断力の低下といった症状が見られるからといって、必ずしもアルツハイマー型認知症などの「進行性の認知症」であるとは限りません。実は、一見すると認知症のように見えても、別の病気が原因で症状が出ているケースが少なからず存在します。

中には、早期に適切な治療を行うことで劇的に症状が改善し、元の生活に戻ることができる「治る認知症」とも呼ばれる病気も含まれています。反対に、対応を間違えると命に関わる緊急性の高い病気が隠れていることもあります。

本コラムでは、認知症と間違えやすい病気の特徴や、うつ病・せん妄との違い、ご家族が気づくための見分け方について、分かりやすく解説していきます。

認知症と間違えやすい病気には「治る認知症」も含まれる

親御さんに「同じことを何度も聞く」「日付が分からない」「急に怒りっぽくなった」といった変化が見られると、ご家族としては「とうとう認知症になってしまったのか」と覚悟を決めてしまいがちです。しかし、医学的な観点から見ると、認知機能の低下を引き起こす原因は非常に多岐にわたります。まずは、すべての症状が不治の病であるとは限らないことを知っておくことが大切です。

認知症の症状と似ている多様な原因

認知症の代表的な原因には、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など、脳の神経細胞が壊れていく変性疾患があります。これらは現在の医療では完全に治すことが難しく、進行を遅らせることが治療の主眼となります。

一方で、脳以外の身体的な不調や精神的なストレス、あるいは服用している薬の副作用などが原因で、一時的に脳の働きが鈍り、認知症とそっくりの症状が現れることがあります。これらの場合、原因となっている病気や要因を取り除くことで、認知機能が回復する可能性があります。

早期発見と適切な治療の重要性

「歳だから仕方がない」「認知症だと思い込んで様子を見ていた」という判断が、回復のチャンスを逃してしまう最大の要因です。原因が別の病気にある場合、治療の開始が遅れることで症状が固定化してしまったり、あるいは原因疾患そのものが重篤化して命に関わったりするリスクがあります。

例えば、脳の中に血が溜まる病気や、ホルモンのバランスが崩れる病気などは、発見が早ければ早いほど、治療後の経過(予後)が良いことが分かっています。ご家族の「何かおかしい」という直感を大切にし、早めに専門医に相談することが、ご本人を救うことにつながります。

治療により回復が期待できる「治る認知症」

一般的に「治る認知症」と呼ばれるものは、医学的には「可逆性認知症(かぎゃくせいにんちしょう)」とも表現されます。これは文字通り、原因を取り除けば「逆に戻ることができる(回復できる)」可能性がある状態を指します。

代表的なものには、正常圧水頭症慢性硬膜下血腫甲状腺機能低下症などがあり、これらは手術や投薬によって劇的な改善が見込めます。次章以降で、それぞれの病気の特徴や見分け方について詳しく見ていきましょう。

精神的な症状が似ている病気との違い

認知症と非常に間違えやすい状態として、精神的な不調や意識の障害が挙げられます。特に高齢者の場合、環境の変化や体調不良がきっかけで心のバランスを崩しやすく、それが認知機能の低下として現れることがよくあります。ここでは、代表的な「せん妄」「老人性うつ病(高齢者のうつ病)」について解説します。

せん妄と認知症の違い

「せん妄(せんもう)」は、高齢者に多く見られる意識障害の一種です。入院や手術、肺炎などの身体的なストレス、あるいは脱水症状や便秘、新しい薬の服用などが引き金となって突然発症します。認知症と混同されやすいですが、最大の違いは「発症の急激さ」「意識レベルの変動」にあります。

せん妄の主な症状と急激な発症

せん妄の特徴は、数時間から数日という短い期間で急激に症状が現れることです。「昨日までは普通に会話ができていたのに、今朝になったらつじつまの合わないことを言い出し、興奮している」といった場合は、認知症ではなくせん妄の可能性が高いと言えます。具体的な症状としては、場所や時間が分からなくなる(見当識障害)、幻覚を見る、注意力が散漫になる、興奮して暴れる、などが挙げられます。

意識障害の有無と日内変動

もう一つの大きな特徴は、1日の中で症状の波が激しいことです。これを「日内変動(にちないへんどう)」と呼びます。昼間はボーっとしていたり、あるいは比較的しっかりしていたりするのに、夕方から夜にかけて急に興奮状態になり、大声を出したり幻覚を訴えたりすることがあります。

認知症の場合、症状は比較的緩やかに進行し、1日の中でこれほど劇的に意識レベルが変わることは稀です。せん妄は原因(脱水や感染症など)を治療すれば、数日から数週間で元の状態に戻ることがほとんどです。

老人性うつ病と認知症の違い

高齢者がうつ病にかかると、気分の落ち込みだけでなく、記憶力の低下や反応の鈍さが目立つようになり、一見すると認知症のように見えることがあります。これを専門用語で「仮性認知症(かせいにんちしょう)」と呼ぶことがあります。本当は認知症ではないのに、うつ病の症状によって認知症のような仮面を被っている状態です。

うつ病による仮性認知症の特徴

老人性うつ病では、「おっくうだ」「何もしたくない」という意欲の低下が著しくなります。質問をしても反応が遅く、考えがまとまらないため、家族からは「理解力が落ちた」「ボケてしまった」と誤解されがちです。食欲不振や不眠、頭痛などの身体的な不調を伴うことも多く、内科を受診しても原因が分からずに、最終的に精神科でうつ病と診断されるケースも少なくありません。

判断能力や自責の念における相違点

認知症とうつ病を見分けるポイントの一つに、質問への答え方があります。認知症の方は、忘れてしまったことを取り繕おうとして、ちぐはぐな作り話をすることがありますが、うつ病の方は「分からない」「知らない」と投げやりな答え方をしたり、答えること自体を拒否したりする傾向があります。

また、認知症の方は自分の失敗に対してあっけらかんとしている(病識がない)ことが多いのに対し、うつ病の方は「自分はダメな人間だ」「家族に迷惑をかけて申し訳ない」と、強く自分を責める(自責の念)傾向が強いのも特徴です。抗うつ薬による治療や休養によって、認知機能も改善していきます。

脳や身体の病気が原因で起こる認知症のような症状

精神的な疾患だけでなく、脳外科的な病気や内科的な病気が原因で、認知機能が低下することもあります。これらは早期に発見して治療を行えば、手術や薬で治る可能性が高い病気です。

歩行障害や尿失禁を伴う正常圧水頭症

「特発性正常圧水頭症(iNPH)」は、脳と脊髄を循環している髄液(ずいえき)の流れが悪くなり、脳室(のうしつ)という部屋に髄液が過剰に溜まって脳を圧迫する病気です。この病気には、以下の3つの特徴的な症状(三徴候)があります。

歩行障害
足が左右に開き、すり足で小刻みに歩くようになります(ガニ股ですり足)。最初の一歩が出にくい、方向転換がふらつくといった特徴があります。
認知症症状
ボーっとしていることが多くなり、反応が鈍くなります。記憶力の低下よりも、意欲や自発性の低下が目立ちます。
尿失禁
トイレが近くなる(頻尿)だけでなく、我慢できずに漏らしてしまうことが増えます。トイレに行きたいという感覚が鈍くなることもあります。

特に「歩行障害」が初期に現れやすいため、「最近歩き方がおかしいな」と思ったら要注意です。脳に溜まった髄液を腹腔などに流す「シャント手術」を行うことで、劇的な改善が期待できます。

頭部打撲後に注意が必要な慢性硬膜下血腫

「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」は、頭をぶつけたことによって、脳とそれを覆う硬膜(こうまく)の間に少しずつ血が溜まり、血腫となって脳を圧迫する病気です。高齢者は脳が萎縮しており、頭蓋骨との間に隙間があるため、軽く頭をぶつけた程度でも血管が切れて出血することがあります。

ポイントは、受傷直後には症状が出ず、1ヶ月から3ヶ月ほど経ってから症状が現れる点です。「最近急にボケてきた」「片方の手足に力が入らない」「頭痛がする」といった症状が出た場合、数ヶ月前に転倒したり頭をぶつけたりしていなかったか思い出してみてください。簡単な手術で血腫を取り除けば、認知症のような症状もきれいに治ることが多いです。

無気力やむくみが見られる甲状腺機能低下症

喉仏の下にある甲状腺から分泌されるホルモンが不足する「甲状腺機能低下症(橋本病など)」も、認知症と間違われやすい病気の一つです。甲状腺ホルモンは身体の代謝を活発にする働きがあるため、これが不足すると心身の活動が全体的に低下します。

無気力になり、いつも眠そうにしている、記憶力が低下する、動作が緩慢になるなど、うつ病や認知症に似た症状が現れます。身体的な特徴として、顔や手足のむくみ、寒がりになる、皮膚が乾燥するといったサインが見られるのが特徴です。血液検査で診断でき、不足しているホルモンを薬で補充すれば症状は改善します。

その他の内科的疾患や薬の副作用

その他にも、ビタミンB1やB12、葉酸などの欠乏によって起こる栄養障害や、肝臓や腎臓の機能低下によって体内に毒素が回ることで起こる意識障害(肝性脳症など)も、認知機能低下の原因となります。

また、高齢者は多くの薬を服用していることが多く、薬の相互作用や副作用によって認知機能が低下する「薬剤性認知障害」も珍しくありません。特に、睡眠薬、抗不安薬、痛み止め、アレルギー薬などの一部には、脳の働きを抑える作用があるため注意が必要です。

家族が気づくための見分け方と観察ポイント

「認知症かな?」と思ったとき、ご家族は医師に情報を伝えるための観察者として非常に重要な役割を担います。医師は普段の生活の様子を見ることができないため、ご家族からの情報が正確な診断の鍵となります。以下のポイントをチェックしてみてください。

症状の進行スピードと変化の様子

最も重要な手がかりは「いつから」「どのくらいの速さで」症状が進んだかです。

病気の種類 症状の進行スピードと特徴
アルツハイマー型認知症 年単位でゆっくりと進行し、いつ始まったか特定しにくい。
脳血管性認知症 脳梗塞などをきっかけに階段状にガクンと悪化する。
せん妄・薬の副作用 数時間~数日の単位で急激に悪化する。日によって波がある。
慢性硬膜下血腫 数週間~数ヶ月の単位で比較的急速に症状が出る。

「先週まではしっかりしていたのに、今週に入って急におかしくなった」というような急激な変化は、進行性の認知症以外の原因を疑う強い根拠になります。

記憶障害の具体例と受け答えの反応

「忘れていること」の内容にも違いがあります。加齢による物忘れは「朝食のメニュー」を忘れますが、「食べたこと自体」は覚えています。一方、認知症は「体験そのもの」をすっぽりと忘れてしまいます。

また、会話をしていて「今、何の話をしていたっけ?」とすぐに忘れてしまうのか(短期記憶障害)、それとも「昔のことはよく覚えている」のか、あるいは「計算ができなくなった」「料理の手順が分からなくなった」という実行機能の障害が目立つのか、具体的に何ができなくなったのかをメモしておきましょう。

麻痺やふらつきなど身体症状の確認

脳の病気が原因の場合、認知機能だけでなく身体にもサインが出ていることが多いです。

歩行の状態
小刻みに歩く、片足を引きずる、よく転ぶようになった。
尿のトラブル
トイレに間に合わないことが増えた、おねしょをするようになった。
身体の動き
手が震える、動作が遅くなった、表情が乏しくなった(仮面様顔貌)。

これらの身体症状は、正常圧水頭症やレビー小体型認知症、パーキンソン病などの可能性を示唆する重要なサインです。

正しい診断を受けるための病院受診と検査

認知症のような症状が出た場合、何科を受診すればよいのか迷われる方も多いでしょう。適切な診断を受けるための受診の流れと、行われる検査について解説します。

何科を受診すればよいか

基本的には、「神経内科(脳神経内科)」「精神科」「心療内科」「脳神経外科」、あるいは高齢者医療を専門とする「老年科(もの忘れ外来)」などが窓口となります。

身体的な麻痺や歩行障害がある場合は脳神経内科や脳神経外科が適していますし、幻覚や気分の落ち込みが激しい場合は精神科や老年精神科が良いでしょう。かかりつけの内科医がいる場合は、まずはそこで相談し、専門の医療機関への紹介状を書いてもらうのがスムーズです。

診断のための画像検査と血液検査

病院では、問診だけでなく客観的なデータに基づいて診断を行います。

画像検査(CT・MRI)
脳の萎縮の程度(アルツハイマー型など)や、脳梗塞・脳出血の痕跡(脳血管性)、脳室の拡大(正常圧水頭症)、血腫の有無(慢性硬膜下血腫)などを確認します。
血液検査
甲状腺ホルモンの値、ビタミン欠乏の有無、感染症の有無、肝機能や腎機能の状態などを調べ、内科的な原因を除外します。

これらの検査を行うことで、「治る認知症」を見逃さずに発見することができます。

認知機能検査による評価

医師や心理士による質問形式のテストも行われます。代表的なものに「長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」「MMSE」があります。これらは、日付や場所を答える、単語を覚えて後で思い出す、簡単な計算をする、図形を描写する、といった課題を通じて、記憶力や計算力、空間認識能力などを点数化し、認知機能の低下レベルを客観的に評価します。

「笑がおで介護紹介センター」へ

ご家族が認知症、あるいは認知症のような症状を抱えている場合、「これからの生活はどうなるのだろう」「自宅で介護を続けられるだろうか」という不安は尽きないものです。もし診断の結果、介護が必要な状態であったり、今後の安心のために施設入居を検討されたりする場合は、ぜひ私たち「笑がおで介護紹介センター」にご相談ください。

認知症の方も安心できる施設を無料でご提案

「笑がおで介護紹介センター」は、関西エリア(大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・滋賀・三重)に特化した老人ホーム・介護施設の紹介センターです。認知症の方の受け入れ実績が豊富な施設や、認知症ケアに力を入れているグループホーム、リハビリ体制が整っている施設など、ご本人様の症状や性格に合った施設を厳選してご紹介します。ご相談から施設のご提案、見学の同行まで、すべて無料でご利用いただけます。

専門の相談員による丁寧な入居サポート

介護の知識と経験が豊富な専任の相談員が、ご家族の不安や悩みに寄り添いながらサポートいたします。「まだ施設に入るべきか迷っている」「将来のために情報だけ知りたい」「夫婦で一緒に入れるところを探している」といった段階でのご相談も大歓迎です。無理な勧誘は一切いたしませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。

私たちと一緒に、ご本人様もご家族も「笑顔」になれる暮らしを探しましょう。

24時間受付中!
施設探しのプロに無料で相談する
0120-177-250 無料相談

このコラムの監修者

花尾 奏一(はなお そういち)

保有資格:介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

有料老人ホームにて介護主任を10年 
イキイキ介護スクールに異動し講師業を6年
介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修の講師
社内介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成・試験官を実施

無料で簡単診断

老人ホーム・介護施設を探す

都道府県をクリックすることで選択したエリアの市区町村や駅・路線などから老人ホームを探すことができます。

スタッフ満足初めての老人ホームの選び方